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飯は喰いたし、眠気は強し。 そんな感じののらくら雑記帳。
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Posted by - 2024.11.23,Sat
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Posted by 中の人:狐或いは右端 - 2007.10.07,Sun
なんとなくふと思いついた内容を文章化。
・シモンとニアの子
・カミナとヨーコの子
・ロシウとキノンの子
が出てくる微妙な話。
いやロージェノムは孫が出来たらウハウハなんだろうなってそれだけなんですけど。






流石にやったことがやったことだったんで、俺も甘い顔はしていられなかった。
「…で、なんであんなことしたんだ」
腕を組み、自然仁王立ちになって俺は娘を問い詰める。声は心なしいつもより低くなった。
だというのに我が子よ、教えてくれ。なんでまたそんなに無邪気な笑顔なのかな?
君の肩の上に陣取ってるブータは恐縮しきりの態度なんだけどね。
全く持って悪びれないまま娘に軽い困惑を憶えた俺に、彼女は子供特有の甘さを含んだ声で応じた。事も無げに。
「だって、高いところが怖いって言うから。
 一度落ちてみたらそんなことないって解ると思って」
にっこにこ、悪意の欠片なんか無いって笑顔は本当に母親によく似てる。短くしていてもふわふわする毛の質も母親にそっくりだけど、目元や眉は俺の子だ。お母さんよりも青色が濃い髪は俺たちの子供だといういい証拠だろう。
愛しい愛しい我が娘、だけどいくらなんだってそんな突飛な思考回路まで俺たちに似ないでくれてもいいんじゃないか?
俺もよくロシウなんかに思いつきが特殊だとか考えの出し方が普通と違うとか言われたもんだけどこの子の場合は一味違う。なにせあの行動力潤沢で一般的思考回路から三回は捻れていて迷うってことがないニアの血を引いている訳だから。
俺が思うに高いところを嫌がってる子をジャングルジムから突き落としたら、ますます高所恐怖症が酷くなると思うんだ。でもそんなことないって確信している顔のこの子はなんと言ったら納得してくれるだろう。
父の威厳を示すつもりだったのにあっさり頭を抱え込まされた俺の横から、脳天気な声がかかった。
「いいじゃねえかシモン。悪くねえ考えだろ」
悪いよ!
思わず勢いよく振り返った先で兄貴がニヤリと笑ってた。あのね兄貴、突き落とされた子は兄貴の子だよ!今病院に連れて行かれてるって言うのになんでそんな楽しそうにうちの子の頭なんか撫でていられるんだアンタは!
「ガキなんて暴れて怪我してナンボだろうが。
 傷の一つもこさえてねえガキの方が危なっかしくてみてられねえ」
なあ?なんて言ってうちの子の同意を得ようとしないでくれ。危ないことは危ないって子供の内にちゃんと教えた上で、分別つけてから無茶するんじゃなきゃ命知らずもいいところじゃないか。…なんて言って、命知らずこの上ない兄貴が納得してくれることもないんだろうけど。
そもそも兄貴はうちの娘に甘いんだよ。
自分とこの子が遅かったのもあって我が子同然に可愛がってくれたのはそりゃ嬉しいんだけど、刀弄ってても文句言わねえし無茶な武勇伝ばっか寝物語に語って聴かせるし。
挙げ句初孫に大喜びしたロージェノムときたらよちよち歩きの頃からラゼンガンに乗せたりするもんだから女の子の割りにやんちゃとかそういうレベルを通り越して育ってしまった。
いや、いいんだ。俺も兄貴がいつも言ってる、子供は腕白なぐらいで丁度良い、怪我くらいは経験の内だっていう意見を否定するつもりはない。
だけどこうしょっちゅう何かしら大騒ぎを起こしてくれるんじゃ心臓がいくつあっても足りないじゃないか。
この間なんか夕飯時にも戻らないってんで俺たち親一同総出で探しに行って(ついでに仕事上がりにばったり会ったヴィラルも顔を真っ青にして手伝ってくれたりした)、どうやらカテドラルテラで追いかけっこをしていたらしいという情報を突き止め(そういう話を握りつぶすんじゃねえよロージェノム!!)、あの中で迷子になられちゃ洒落にならないと深夜まで捜索を続けて半ば打つ手を失った頃に、実は螺旋界認識システムでとっととおうちに戻っていたことが判明(つまり入れ違った訳だ。子供達は疲れて全員ソファで寝てた)ということもあった。
兄貴の腕にじゃれついてる娘を見てたらなんかでかい溜息が勝手に出た。肩を落とした俺の顔をおずおずとアンネちゃんが覗き込んでくる。
「あの、ごめんなさいシモンおじさん。私、ちゃんと止めないといけなかったのに」
両親に似た柔らかな容貌をくしゃっと歪めている顔が痛々しかった。彼女が手を引いている従兄弟の子もお母さんに似て優しげな面立ちとお父さんから貰った意志の強そうな眼差しをめいっぱいに緊張させている。
「アンネちゃんは悪くないだろ。ごめんな、びっくりしたよな」
少し年上なだけに他の子の面倒を見なくちゃと気負ってるだろうに、うちの子がいつも迷惑をかけて申し訳ない。
今回だっておそらく我が娘君が取った行動には前兆なんか無かったんだろう。それで事前に防げと言ったってそんなのは超能力者でもなければ無理な相談だ。
しかしうちの子は元凶のくせに、この従姉弟たちの十分の一もしょげてないっていうのは問題なんじゃ無かろうか。躾の方向性を大幅に間違えた予感を俺が憶えたのと同時に内線が鳴った。
「はい…ああ、キノン」
お母さんの名前に小さな男の子が反応を示す。遅れてうちの娘とアンネちゃんも電話の内容に気付いてこっちを見た。
「ああ、解った。伝えておく。それじゃ」
仕事中のヨーコに代わってキヤルが兄貴んちの子を病院に連れて行ったから、キノンに先に連絡が入ったらしい。お母さんと話させてやるか迷ったけど、キノンも作業中のようだったからそのまま受話器を置いた。
「どうだって?」
流石に不安顔の兄貴が勢い込む。心配ならそう素直に言えばいいのになあ、そんなんだからヨーコと結婚するのに何年もかかるんだよ。俺も人のこと言えないけどね。
「右腕の骨にヒビと、それから右足首捻挫だって。あとは擦り傷とからしいけどそんなに心配いらないってさ。今ダヤッカんちに戻ったみたい」
「そうか」
ほっと一息吐いた兄貴の足下からうちの娘がすり抜けた。アンネちゃんたちの手を取ってすぐにでも部屋から出て行こうとする襟首を慌てて掴む。
「こら、どこに行くんだ」
まだ父さんのお説教は終わってません。
だというのに俺の愛しいお嬢さんは、当たり前のように言った。
「アンネお姉ちゃんち!」
遊びに行きたくてうずうずしてる顔に脱力する俺の後ろから、兄貴がおう気ぃつけて行ってこいと後押しする。それを受けて父の二の句を待たずに我が子は手から逃げていった。
もう一度掴まえようとしたって子供は風の子、もう遅い。
家に帰ってきたらもう一度ちゃんと話をしないと駄目だな。さてなんて言ったらあの子は納得してくれるだろうか。仕事のために机に戻りながらそんなことを考えている俺の耳に、廊下の向こうから元気の良い娘の声が届いた。
「ラガン使えばすぐだよ!」
不穏な単語に無意識に胸元をまさぐっても錐体の感触はない。あれどうしたっけ、ロシウと今後の使い途に迷って一度アークグレンの起動スイッチに使って、その時点で多分ロージェノムの手元に渡ってた訳だから………
「マズい!!」
あの孫に激甘の爺のことだ、孫に言われれば…いや言われなくても楽しい玩具としてコアドリルを提供している可能性は充分にある。慌てて椅子を蹴っ飛ばし、俺は娘の後を追いかけた。背中でまた内線が鳴るけどそれは兄貴に任せる。内容は大体解ってるんだ、ロシウかギミーかダリーに決まってる。格納庫で上がってるに違いない悲鳴が耳の奥で幻聴として響いた。
リーロンが止めてくれているそれこそ天の星の数を分母にするほどの可能性に賭けて俺は廊下をひた走った。
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