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飯は喰いたし、眠気は強し。 そんな感じののらくら雑記帳。
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Posted by - 2024.11.23,Sat
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Posted by 中の人:狐或いは右端 - 2007.12.13,Thu
めのこシモン・ロシウコンビでいちゃこら。多分テッペリン陥落から3年後くらい。
いちゃこら書けない病の割りに頑張ってます。

まあこの裏っかわでロージェノム復活させたりとか色々やってるんですがこの人達。






壁際に設置されたベッドの上で書籍を読んでいたロシウは、すぐ横でぼふりと間抜けた音が上がったせいで反射的に顔を上げた。見れば揃えてまっすぐに伸ばされた彼女の脚の脇に藍色の頭とそれに連なる身体が投げ出されている。薄手の寝間着は風呂上がりの肌に絡みつき藍色の髪もかたまり気味だ。ああ、だかうう、だか不明瞭な呻きを上げたシモンはきちんと水気を拭き取らなかったと見える。
「濡れたままだと風邪引きますよ、シモンさん」
本を置いたロシウはシモンの肩に掛かっているタオルを手に取った。小さな双子にそうする手つきで藍糸に既に湿り気を含むタオルを被せて拭う。髪を乱し掻き混ぜるような仕草ではなく撫で回している動きに近い手の平が布越しにも気持ちいいのか、仰向けに寝ころぶシモンはその手に懐いた。
閉じた瞼で頭をタオルに頬を布団に擦りつける彼女を見てロシウは手を止める。そのまま眠ってしまいそうだが彼女はベッドに対し水平に横たわっているせいで端から脚がはみ出していた。
「シモンさん、眠るなら毛布を被ってくださいね」
生乾きの髪からタオルを剥がして肩を揺らす。やはりはっきりしない声を上げつつも注意を聞き取って、シモンはのろのろと身体を起こした。
螺旋王を倒した大グレン団の日常はむしろ戦っていた頃より忙しくなっている。入れ替わり立ち替わり起こる問題は力で解決出来るようなものではなく、あれよという間に山積みになっていた。誰もが、少なくとも真面目に問題に取り組んでいる者は皆が、疲労困憊となっている。
ふにゃふにゃと目元を擦り欠伸するシモンにつられて自らも口許を抑えたロシウも例外ではなかった。シモンに至っては姿勢を保つ努力も難しいのかどうにか正した背筋を曲げてすぐ傍に居る親友に縋り付く。肩口に頬を預けて抱きつこうとしたらしい腕は途中で持ち上がる努力を放棄し、ロシウの膝の上に落ちた。
「あったかい…」
眠気の滲む声音で言いながら擦り寄るシモンの身体を抱き留めていいのかロシウの両手は宙を掻く。いっそ風呂上がりの少女よりも頬を上気させた生真面目な娘をとろんとした灰色の眼が見上げた。
「ロシウもおつかれさま」
慌て気味の顔を見て笑みを零し、まだしっかりとはしない口調ながらもシモンは体重を離した。同時に去った体温を名残惜しんだロシウを直ぐさま伸びてきた腕が抱きすくめる。痩せている割りに膂力を発揮するシモンにバランスを崩され、黒髪の少女は額をふくよかな胸にぶつけた。ごめんなさいと謝ろうとしたロシウの頭が髪を拭いてくれた礼だとでも言うつもりなのか撫でられる。
「今日も一日、がんばった」
だから仕事はもうおしまい。片手でロシウの髪を梳きつつもう一方の手が本を後ろ手に隠した。それに気づいて顔を上げたロシウの黒い瞳にシモンの貌が映り込む。かと思えばそれは視界いっぱいに広がり、全容を捉えられなくなり、直後柔らかなものが唇に触れた。
接吻、を受けているのだと気づいてロシウは急ぎ瞼を落とす。彼女はなんとなくそれが礼儀なのだと思っていた。同じように目を閉じたシモンはおそるおそる伸ばされた舌を鷹揚に受け入れる。
さっき迷っていた手がうっすら濡れた寝間着ごしに身体を引き寄せ、応じて黒糸から滑り落ちた指が同じように伸びた。背は抜かされた代わりに育った乳房に未だ薄い胸元が押しつけられる。
こんな風にすぐ近くで触れ合うことを始めたのはそう遠くない話だが彼女たちは既にこれを日常として受け入れていた。
嫌悪するようなことならばともかく、少なくとも自分はこの行為を心地良いと感じているのだから当然だろうかとロシウは思う。恥ずかしさは未だ消えず、彼女としては己の倫理を越えている自覚もあった。しかしそれでもシモンの熱を受け取ることはロシウにとって拒否し難い。
その日食べるものも危うい故郷では食事自体神聖な行為であり、転じて唇を重ねるという行動もそれに準じていた。かつて仰いでいた神を失った少女にも文化としての思考は残る。新たな指針となった人とするのであればその意味は更に増した。
夢中になる心の片隅で相手にとってはどうだろうと考え、今日はシモンからだったのだからたぶん嫌がられてはいないのだろうという見当だけはつける。それから一番最初にこうしたのはどちらだったのかまで俄に思い出して余計ロシウの肌は朱を強くした。
一度目の記憶は忘れようもない。
二人揃ってグレンラガンの整備を終えた深夜、誰も居ない格納庫、ロシウからだった。
そんなことを思えば芋づる式に二度目の記憶も湧き出てくる。三度目、四度目。
回想のせいかそれとも長々続けて息が切れたか本人にも判別できないまま唇が離れた。そそくさと口許を抑え俯いたロシウにシモンは首を傾げる。気負わない声がどうしたと訪ねた。
「あ、いや…えっと」
口ごもる相方にますます首を捻り、慰めるつもりか指先が紅を掃いた頬を辿る。何度も瞬く目元を擦られて今度はロシウが不明瞭な声を絞った。しかし基本的にシモンの求めを断れない彼女は最終的に白状する。
「何回めのキスかって数えるの、いつしなくなったのかなって」
予想外の言葉だったのだろう、聴いた直後シモンは目を丸くした。
「数えてたのか!?」
遅れていかにもびっくりしたという頓狂な声音で問いを重ねられロシウはそっぽを向いたまま頷く。
「数えようとかしてたわけじゃなくて、なんとなく、ですけど」
差し挟んだ言葉にシモンが堪えきれないという風情で吹き出した。その笑みは好意的なものだったが羞恥心を憶えているロシウは恨みがましい視線を向ける。
「几帳面だなあ、ロシウは」
それを受けたシモンの笑顔が質を変えた。眦を撫でていた手がまた黒髪を弄び、少なからずからかいを含んでいた表情は優しく解ける。
「いいじゃないか、なんにでも真剣で…ロシウのそういうところ、俺は好きだな」
ロシウの頬が孕む熱も意味を変え、逃げるようにまた俯いた彼女を灰の双眸が覗き込んだ。悪びれず好意を伝えるのはシモンの愛情には種別が少なく、あくまでも量の差があるだけに過ぎない故だろう。彼女は感情の幅が広がることを恐れているふしがあった。
床まで同じくしているのだからおそらく他の人よりはずっと好まれているはずだと愛情の質からは目を背けようとして、しかし零れたのは拗ねた言葉になる。
「…シモンさんとのことは、全部覚えていたいだけです」
まるで貴方は憶えていてくれないと詰るような口調になって、自分にまで不満を憶えたロシウは彼女には珍しく子供のように頬を膨らませた。
丸みを持った部分を突き、からかいに怒っているのだろうと見当をつけたらしいシモンが笑ったまま眉をハの字にする。困らせたのかと乙女らしく狼狽えたロシウはあっさりと慣れない膨れっ面をやめた。
「俺はさして記憶力がよくはないし、頭もよくない。
 でもひとつは解る。確実だ」
手の甲で柔らかく頬を叩きながらシモンは顔をロシウに近づける。何を語っているのかと身構えた少女の投げ出された手に相手の末端が絡んだ。身長差故に見上げる形になったシモンの鼻先がロシウのそれに触れ、囁く声が耳に雪崩れる。
「キスした回数、一回増えるよ」
ずるい予言の語尾はロシウの口腔に直接流し込まれた。
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