好きなのだなあ。作り手さん方が。
でもその…偶には別の子たちにも光をですね…
いやまあ、グレパラ自体お祭り企画なのだから我が儘は言えないことは重々承知。
いいじゃない!チミルフ様とアディーネさんのいちゃこら想像したり、マッケンレイテ夫妻のナイス仕事ぶり想像したり、したっていいじゃないか!
…あれこれ別にグレパラじゃなくても脳内で妄想してればよくね?ということに気づいてしまいました。
うん、あれだ。
想像の余地が残されたってことですね。
今回のオマケはグレパラ4よりシモンの復讐譚?ですよ。
シモンは男装の女の子でも美味しいなあと思ったんですが女体ばっかりもどうなのよ!ということで普通にお小姓さんです。勢いだけで書いてみたのでいつもどおり文章ガッタガタ!
思いつきと朝の勢いのみでやってみた。
ざんばらに伸びた藍の髪を風にくゆらせ、迫る夜によく似た色彩を持つ人間は鈍い刃をヴィラルへ向けた。妻子の待つ帰り道、何故殺気を向けられねばならぬのか怒りを覚えながらヴィラルはエンキの鐙から足を外す。
「カミナ、という名を覚えているだろう」
手慣れた仕草を待ちながら、闇に近い灰の瞳が金色の獣人を睨んでいた。確かに覚えのある名に頷き、ならばこれは復讐者かとヴィラルは低く唸る。
相手の唱えた名は切り捨てられて当然の大悪党だった。同族達がカミナの率いる大グレン団という賊を災害かのように恐れ暮らしていた日々も遠くはない。
だがそれもヴィラルが幾人もの同族と力を合わせカミナを倒したことで終わりを告げた。頭目を失った大グレン団はいとも簡単に空中分解したのである。ただ、その代わりに小さな山賊や海賊は山を成した。ヴィラルは今日もその一つを潰した帰り道に居る。
疲労をどういなすか考えながらヴィラルは広い掌を腰に下げた鉈へと触れさせた。それから頷きを返して見せると載せた感情の激しさの割につぶらな相手の瞳が細くなる。
「ならばお前は大グレン団か」
よもや今更その名を名乗る者などいるとは思わなかった。低俗なちんぴらの集まりの中、頭領への義侠心を見せる者がいたことにヴィラルは少なからず驚く。しかし確かめる言葉が微かならぬ驚愕を交えていたことを感じ取った痩身の賊は怒気を含めて声を低くした。
「嗚呼、そうだ」
よく見れば折れた刀という貧相な得物を翳して藍髪の生き残りは歌うように名乗りを上げる。
「俺こそは大グレン団最後の独り」
破落戸、と呼ぶには誇り高くその声は夕暮れに響いた。
「“穴掘り”シモンだ」
それを合図に半端な刃を携えたシモンが突進してくる。素人めいた動きと思いながらもヴィラルは己の命を守り無事帰宅する為、当たり前に鉈を抜いた。
穴掘り、などという揶揄した渾名をつけたのが誰だったかをシモンは覚えていない。ただカミナが面白がって穴掘り穴掘りと繰り返したので、それが気に入ったのならばと自ら名乗るようにもなっただけだ。
カミナは、シモンにとってただ一つ絶対の存在だった。神に等しいと言っても構わない。
そもそもシモンは、ただの戦利品の一つでしかなかった。
大グレン団が襲った船の底で商品のとして繋がれていた子供。食料とあらば飲み食いに、金品ならば豪遊、あとは売り飛ばすような乱暴な扱いを繰り返す駄々っ子の集まり。山賊とも海賊ともつかない大グレン団に、シモンはやはり元の扱いのまま売り飛ばされてもおかしくはなかった。
だが並べられた戦利品の一番端に座らされたシモンを、何故か大グレン団頭領のカミナは見初めて手元に置いた。何が良かったのか、をシモンは知らない。それを問うてカミナの機嫌を損ねるのが怖かったからだ。生まれて初めて庇護を与えてくれた人に嫌われたく無かった。
カミナは毒を盛るなどということを思いつきもしない幼い手に酒を注がせ、余計な欲を語る女の代わりに痩せた身体を抱き、良いようにシモンを使う。それがシモンには嬉しくて仕方がなかった。
カミナは決してバカではなかった。自分の部下となる連中がカミナの持つ力と財に寄り集まる羽虫だということを重々承知して、その上でそれを利用していたのである。
「フン、あの阿呆共、俺様頼りに群れてるだけさ」
ただカミナはシモンだけに、そんなことを酒の肴に話すことがあった。肩を抱き寄せ耳打ちするその言葉にどんなにシモンが酔いしれるのかも知った顔でカミナは語る。
腹の底を見せた台詞に舞い上がるシモンへ遂にカミナは愛用の刀の世話まで任せた。信頼された証と知ってシモンは飛び上がる程喜び、その手入れとくればそこらの刀鍛冶が頭の上がらないような腕前にまでなった。全てはカミナを喜ばせるため。シモンにはそれしかなかった。空っぽの自分の中にカミナという存在を詰め込む愚かで幼いシモンを、故にカミナはよくよく可愛がって見せた。
自分にだけは特別に接してくれている…それが幻想かも知れないと半ば諦めつつもシモンはますます刀の手入れに精を出した。シモンが納める刀の燦めきを確かめ一つ頷く、そのカミナの仕草を見るためにならば寝る間も惜しんだ。
或いは、その他の大グレン団員にはない几帳面さをカミナは買っていたのかもしれない。
しかしシモンの幸せは長く続かなかった。荒くれ者の集まりであった大グレン団は獣人達の抗いに会い、カミナは相対した獣人の武人に殺されたのだ。
目の前に飛び散った血と倒れるカミナの身体を眺め、シモンは声にならない悲鳴を上げた。その場で共に殺されていればいっそ楽だったかもしれないものを、運の良さか悪しさかシモンは生き延びてしまった。
カミナの予見していたとおり、中心を失った大グレン団は急速に瓦解した。誰もが自分のことしか考えていないのは火を見るよりも明らかで、大グレン団の旗を抱き憎悪に身を躍らせたのはシモン独りだった。
シモンは穴掘りという通り名通りにカミナの愛した海の見える岬に団旗と共にカミナの遺体を埋めた。墓標はつけられなかった。大グレン団の買った恨みを理解出来ない程シモンも愚かではない。
カミナを斬った獣人に折られたままの刀を腰に下げ、カミナが戯れにシモンに下げた金を懐にシモンは復讐を胸に誓った。己の神を奪った者をどうして許しておけようか。
金色をした獣人は英雄として祭り上げられており、居場所を探るのに労はなかった。ただ幼く弱いシモンがそこに辿り着くまでにはそれ相応の時間が掛かり、その間に成長期を迎えたシモンの背はひょろりと伸びていた。相も変わらず痩せた身体はカミナの手慰みを受けていた頃と変わり柔らかさを失い、それがシモンを悲しませる。
しかしとにかく、シモンは遂に仇と対峙していた。
打ち合いなど存在しなかった。ただヴィラルが避け、大振りの刃がシモンの身体を切り裂いただけに過ぎない。かさりと軽い身体を草むらが受け止め、赤みの薄い唇が無念そうに呟いた。
「兄貴…」
諾々と血を零しながら、それよりも多くさえ見える涙を溢れさせる。
「ごめんなさい」
仇すらとれない身の弱さを嘆き、謝罪しながら瞼を閉じるシモンを見下ろしヴィラルは幾ばくの後味の悪さを感じていた。転がる相手の身を見ればまだ伸びきらない体をした子供で、横顔は無垢にすら映る。どうしてこんな子供があの悪党の敵討ちを決意したのか解らなかった。
一方で、金眼金髪のこの男を斬り殺したところで、ただ恨みが増えるだけだということをシモンも理解していた。故にどこかで成就し得ない復讐であることに安堵もしていたのだった。抱いた憎しみごと、カミナと同じ刃に切って捨てられ死ねれば本望。己の憎悪を相手に知らしめることもできよう。
そも、折れた刀など死んだも同然。武器としての体裁を成していないことはシモンにも重々承知だった。それでもその手に握るのであれば、これでなければならなかったのだ。
この刀こそ、カミナとシモンを繋ぐ一番の絆だったのだから。
姿形の変わったこの身で賽の河原を渡ってみれば、兄貴に自分と理解して貰えるのか。それともあの世では幼子の姿に戻れるだろうか。そればかりが今のシモンの心を捕らえる悩みとなっていた。
命を失い眠るようになった人間を見下ろし、苦い顔をしたヴィラルはエンキと共に家とは違う道を進む。賊とはいえ弔わねば気が咎めるのがこの男の気性だった。それを知る妻であれば帰りが遅くなろうと怒りはすまい。
返るところのあるヴィラルが見れば、今や空は夜の帳に覆い尽くされていた。
久々なんておっしゃらず、コメント本当どうもありがとうございます。
何言ってるの、あの姉御が陸へ帰れば美味いパンを振る舞うとっちゃんにメロメロなんだけど言い出せないツンデレお姉様かもしれんじゃろ!というか脳内ではそういうことに大決定です。
ヴィラルはちっこい生き物に絶対弱いと思うんスよ、そういう視点で記憶喪失かつ女体(14)シモンとの文章書いちゃったことすらあるよ!ブータとヴィラルはきっと仲がいいと思いますが、そなたが乗るにはちとヴィラルどんの片肩では足りぬのではなかろうか。いや武人だから大丈夫だろうか。
そうか…あれはエロでなく汁か…!情報サンクスですぜなもしー
チケット本当にありがとうございます、土下座ものでございます。お礼にアニメイテッドのチケット人数分取れたらいいのに無理そうです…ギリッ
いつもながら返信が妙に長くて老害っぷり全開でごめんよごめんよ
コメント貰うと舞い上がる人種なんよ。すまんことです。
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