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飯は喰いたし、眠気は強し。 そんな感じののらくら雑記帳。
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Posted by 中の人:狐或いは右端 - 2008.04.27,Sun
相変わらずオチのない感じにグダグダとショタニキ。
シュリはカミナと同じクラスってことらしいです。
シオナはシュリの年子、暦の関係で同学年ってことでお願いした方が読みやすいかもしれません…。
書き手の書き易いようにジョーキン姉弟妹+アンネの性格が捏造されてます。済みません。

一度エラいミスをしてしまったため修正したらほぼ書き直しになりました。
無駄な作業が多い管理人であります。
ミスがあまりにも多すぎて消そうかどうか迷いましたが更新数の問題で一応残しておきます。なんて理由だ。

以下修正前のミス。
・ジョーキンさんちの三人目が女の子だと思ってた
 (それというのも長男がゾッカで三人目がシュリだと思ってたんですね。
  長男がシュリ、次男がゾッカです。…なんで間違えたんだ…?)
・ジョーキンさんちはシオナ→シュリ→ゾッカの順だと思ってた
ハイ、最終発掘編に目を通してなかったことがバレバレ!
なんでこんな勘違いをしたのか意味不明です。どこかで見たような気がしてたんだけど…というか作劇メモの時点で間違ってるとか…自分ちょっとそこに岩でも抱いて正座しろ。






あいにくその時シオナは図書室に籠もっていたので、騒ぎに気づくのが遅れた。バタバタと廊下を駆けていく騒がしい足音がいつもより多い気はしていたのだが、それも学校では大して珍しいことではない。
隅の大机を陣取って学年にしては難しいはずの本を紐解いていた彼女が顔を上げる羽目になったのは、図書室の窓まで振るわす大音声のせいだった。
「おうおうおう!テメェらいい気になりやァがってよ!
 ぴーちくぱーちく集まらにゃあ言葉もねえってのか!」
威勢の良い声には嫌という程聞き覚えがある。使い慣れた眼鏡のフレームを押し上げ、ため息を吐き、それからシオナは本を閉じた。書架から抜き出した本はここへと書いてある台車に書籍を突っ込みお気に入りの場所を後にする。
その前にちらりと目にした窓の下、校庭の端に空色の頭が見えた。もう一回ため息を吐きながら今度は彼女自身が“廊下を走らない”の校則を破る。そうこうしている間にも校庭に響く啖呵は勢いを増していた。
暇が無く、仕方ないので上履きのまま土の上に出る。母ちゃんごめんと呟きながら走ったシオナを、遠巻きに集まって騒ぎを傍観している連中の幾人かが見送った。
そこそこ広い校庭の中、晴れの日と同じ色の頭をした少年が夕焼け色の眼を尖らせて怒鳴っている。その声にしてやられているのは彼よりどうやら学年が上の生徒達で、そのくせ頬に痣やら脚に擦り傷やらをつけていた。
まったくあの馬鹿力。胸の中で毒づき、シオナは堂々と空色頭の背後に近づく。そこに突っ立っていた彼女の兄が妹の名前を呼んだが後回しだ。目立つ藍色のジャージとその背中に描かれたマークを着込み、誇らしげに仁王立ちする少年の束ねた髪を引っ掴む。
「なーにトンチキやってんだいこの大バカっ!」
シオナは構わず思い切り括り髪を引っ張って耳元で怒鳴りつけてやった。予想外の攻撃に垂れ眼が丸くなり、継いで先ほどからの興奮のままにつり上がる。
「なにしやがっ…!」
けれど上がる文句を無視してシオナは放置していた兄弟へ視線を向けた。睨み付けられびしりとシュリの背筋が伸びる。その左右にくっついた小さな女の子と男の子も一緒になって固まった。
「シュリ!あんたもあんただよ、どうして騒ぎを止めないんだい」
髪を掴んだまま叱りとばす。その隙に、学年が違う連中が尻尾を巻いて逃げ出した。這々の体でよろめく者さえいる奴らを追いかけようとして出来ずに少年が吠える。
「待てこの野郎っ!」
怒鳴る声も制止は出来ず、余計蜘蛛の子を散らすだけだった。赤い布で結ばれた髪を更に引いてシオナの声が低くなる。
「だからお止めと言ってるんだカミナ」
睨め付けるシオナの瞳にシュリと二人が身を竦めた。だというのに、真っ直ぐ視線を交えたカミナはむしろ向こうを張る勢いで居る。お互い挑む態度を崩さずにいるのが耐えきれなかったのか、シュリの横にくっついた小さな男の子が気弱に声を上げた。
「姉ちゃん、カミナ兄ちゃんは…」
「お黙りゾッカ」
どうにか場を納めようとする弟を皆まで言わせず切って捨て、ようやく髪から手を離したシオナは腰に手を下ろす。説明を聞かずとも、大方の事情は察していた。
カミナの怒鳴り声。耐えるようなシュリの顔。涙を我慢して耳まで真っ赤になっているゾッカ。そして、何も言えずスカートの裾を握っているアンネ。
いつもの光景だ。
「…シオナ、お前もあいつらと同じ穴のムジナかよ…!」
獣さながらのうなり声にため息一つ、機械工の娘はずれた眼鏡の位置を直す。そうして視線をずらした間にカミナはシオナの正面をすり抜けて並んだ三人へ腕を振り上げて見せた。
「ゾッカ、アンネ、泣くんじゃねえ!シュリも上向け上!」
びしりと言ってのける気の強さを間違いだとはシオナも思わない。正しいと思ったことを曲げないところは美点でもあるはずだ。ただ、時と場合による。
「大グレン団は英雄なんだ、お前等が恥じる必要がどこにある!?」
熱弁を振るう背中にサングラスと炎の意匠を見、シオナはこめかみを押し揉んだ。
このマークの大本が騒ぎの根源にある。シュリもゾッカもアンネも自分も人類を地上での生活へ導いた大グレン団の血を引く子供達だ。
地上で暮らす人間達が百万を超えることで発動する粛正プログラムが発動してから五年。かつては人類解放の英雄だった大グレン団の名も今となっては口にするのも禁忌の有様だ。どうにか人類はロシウ総司令のもと人口制限百万の権利を守ることに成功したが、その合間に失われたものは大きい。大人達が抱く恨み辛みは子供達にあって露骨な阻害となって現れた。
リアルタイムで人類の束縛から解放、そして再びの閉塞に至るまでの歴史を体験していないが故に子供には大グレン団の名前が格好のイジメの口実になる。
今日もまた、誰かがちょっかいを出してきたのだろう。特にアンネは人類がリミットを越えた宣言を受けた日に生まれたせいで、悪口を言われることが多い。日付の近いゾッカがいつも庇うがそれでは足りず、シュリのところに逃げ込むことは多かった。
赤くなった目元を擦り鼻を啜っているアンネはカミナの口上にも俯いている。そんな風に傷つかなくても良いのだと、言ってやりたいのはシオナもカミナと同意見だった。だが自分の正当性を押しつけるために暴力を振るうのは得策ではない。
「それで?殴って同じ痛みを与えてやるってかい?」
興奮しているカミナの背中へ冷たい声を投げつけてシオナは腕を組んだ。彼女はとうに罵声には慣れている。勢いよく振り向いたカミナの怒りを込めた視線にも全く動じはしなかった。
「暴言と暴力、どっちもどっちだけどね。
 それでおあいこだなんてそんな風にゃならないんだよ!」
カミナの機先を制して言葉を叩きつける。そう、諍っておあいこになるなんてことは絶対にないのだ。まして自分たちの相手は事情を理解もしないで風評を流し悪口を口にする連中で、なら例えこちらに何の非がなくとも適当に理由をでっちあげてつっかかってくるに違いない。そんな低次元の言いがかりに構う方が時間の無駄だ。むしろ殴った分だけ向こうに口実を与える。
「痛みを秤で正確に測れるとでも言うのなら両成敗も出来るかもしれないけどね。
 実際はどっちも、相手の方を“やりすぎ”だって思うのさ」
シュリもその理屈を知っていた。だから彼は相手を焚きつけないために、自分の弟や妹同然の女の子が泣かされても黙って頭を撫でてやるだけに留めて同級生を殴ったりしない。
カミナは一瞬押し黙ったが、すぐに憤りを込めて叫んだ。
「じゃあやられッ放しでいろってのか!
 なんも悪くねえアンネが泣かされて、そんでいいのかよ!」
俺にはさっぱりわからねえ。吐き捨てた彼は最近宇宙から降りてきたばかりで、シオナ達のように諦める方法を知らない。自慢げに着込んだ上着が今日日ご禁制も同然の大グレン団のマークで飾られているのがその良い証拠だった。
彼は転校初日からそれを巡って大騒ぎを起こし、シュリとそれから担任のヨーコ先生の頭痛の種になっている。
「あんた、そうやって人殴って、全員殴って、言うこときかせりゃそれで良いのかい?」
眼を細め、声も引き絞ったシオナは苦々しく言い募った。相手が乱暴に我を通すのも確かに気に入らない。しかしそれ以外にも彼女には認めがたいことがあった。
カミナは、人口制限への対処を許す代わりに追放刑を受けたシモンの元で暮らしていたという。シオナの記憶の中にいるシモンという青年は、いつも穏やかで優しい人だった。ムガンに街が襲われ火と爆音にまみれたあの日にも、大丈夫だからと安心させるために笑顔を見せてくれた人だった。まるで狂犬のような少年がシモンのところからやって来たのだとは俄に認めがたい。
もう、希に遊びに来てくれていたあの人も、彼と一緒に居た女性もいやしない。それがどれだけシオナにとって辛いことなのか、シモンと暮らしていたというカミナは理解しないだろう。ただ自分の痛みを周りに理解させる為に暴れ回っているカミナへシオナは指をつきつける。不服そうに歪んだ空色の眉と良く回る口を指先を示して遮って、少女は顎を上げ言い捨てた。
「力で押さえつけてイイ気になるなら、アンチスパイラルと同じだね」
言われた言葉にカミナの口元が引きつる。何か言いたげに白い歯が覗いても、その先に続く言葉は無かった。
生まれた空白に鼻を鳴らしてシオナは兄へ乱暴に頼み込む。
「シュリ、二人つれて戻ってて」
シュリは静かに頷いて左右の手で小さな掌を連れた。涙の跡の乾いた頬を見せながらゾッカは心配を浮かべて年上を振り返る。アンネはスカートの端を握ったまま、口をへの字に結んでいた。それでも耐えきれなかったのかぽろりと落ちた涙を急いで袖で拭き取る。
小さな二人が自分の足下をおろそかにしている仕草を見て、シオナは転ぶんじゃないかと気を揉んだ。姉らしく心配する彼女の隣でやっとカミナが口を開く。
「…じゃあどうすりゃいいってんだよ」
押し殺した声音にいつもの勢いはなかった。消沈している訳ではない。しかし苦慮していることは滲んでいた。
おそらくは、カミナとてただ殴れば全てが終わるとは思っていないだろう。だからさっきシオナの言葉に口をつぐんだ。しかし彼は拳を握る以外に方法を知らない。
再三の息を吐き、シオナは肩を窄めた。
「知るもんか」
知っていたら、シオナだってとっくにやっている。最良の道がどこにあるのかを探っている大人達だって山程いるはずだ。それでも道がみつからないから問題で、そして道が見つかったとしてもそれが茨にまみれているのは明白だった。
「なんだよ、それ」
答えを与えられなかったカミナが膨れっ面を見せる。自分で考えろとわざわざ言うのが億劫で、シオナはもう一回カミナの髪を引っ張った。

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