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飯は喰いたし、眠気は強し。 そんな感じののらくら雑記帳。
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Posted by - 2024.05.03,Fri
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Posted by 中の人:狐或いは右端 - 2008.05.27,Tue
・自分が本当に文章に携わる仕事をしているのか時に疑わしい
・むねん


の二項目にオマケつけておいたんでござる
微妙なオマケで申し訳ない。

こんなご連絡だけなのももうしわけないので、このメモにもオマケつけておきました。
元気にやさぐれってるシモンです。





終りの始まりの日、シモンは確信を込め呟いた。
「ああそうかそうなんだ、兄貴は先に天辺へ行ったんだねそうに決まってる」
細く立ち上る煙を見遣る瞳の奥底で彼の何かは確かに壊れたのだった。
闇色にぽっかり開いた目を笑ませてシモンは両手を泥の変わりに朱へ染める。
「獣人達を殺すんだ、殺せば兄貴に追いつける」
復讐の筈の行為を別の何かに転化させ、どれより紅いガンメンにもべったり朱はこびりついていった。
鉄錆のにおいを身にまとい、それより尚目立つのは着込んだ狂気。
あなほりシモン、はかあなシモン、赤いガンメン通った後は爛れた大地が残るだけ。
笑いながら獣人を殺す彼のことをいつしか人間ですら恐怖し嫌悪した。
奪った呼吸を積み上げればいつかは失われた鼓動を取り戻すことが出来るのだと、夢想を信じた少年は囁く。
詛いじみたその虚言に赤毛の少女は耐えきれず叫んだ。
「あんたのそれは逃げてるだけよ!」
背なに負うたは愛用のライフル、無腰での相対を無意識に拒んだ娘にシモンはきょろりと目を丸くする。少女の噛みつく勢いがちらとも解っていない姿だった。
「ヨーコは兄貴に会いたくないの?」
相手を理解せず、それどころか自らの理想を押しつける。苛立ちと恐怖と嫌悪を向けられても構わずにシモンは両腕を広げ空を仰いだ。
「あいつらを殺すんだ、殺して死体をつみあげて、それから、それから…」
そんなことで月に至れるはずもあるまいに、現実はシモンにとって意味を成さない。
甲板できゃたきゃたと幼子のように笑いステップを踏んでいる姿を眺めてキタンは毒づいた。
「誰が迎えに来るもんか、奴は死んだんだぞ」
その死んだ男の代わりに一団を率いる彼の言こそ現実だった。
兄貴兄貴と甘えた声で獣人を倒すシモンは戦果に貢献しながら団員のモチベーションの低下をも招いている。あの凶刃を残すべきなのか放逐すべきなのか、しがらみは新しい頭領をがんじがらめにした。どこかで彼も理解しているのだ、シモンを捉える苦しみを。他人が引きずり出してもその泥沼は一生ついてまわるのだ。
「…嘘でも、信じたいことはあります」
同じようにシモンを見つめ、それから祈る仕草で視線を逸らした少年が囁く。敬虔にもその身をシモンの半身として差し出した彼は、過去の己を映す瞳でシモンを眺めた。
「僕だって、いつかは母さんが迎えに来てくれるって思ってた…」
雨の降る甲板で空に手を伸ばし、他者を拒んではしゃぐシモンは待っている。
自分が殺すべき仇がやってくるのを、ひたすら待っているのだ。
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