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飯は喰いたし、眠気は強し。 そんな感じののらくら雑記帳。
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Posted by - 2024.11.25,Mon
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Posted by 中の人:狐或いは右端 - 2010.05.20,Thu

ウイングフォーム開封したら、お目当てのウイングパーツに結構酷い塗装汚れが…。
割とショックだった管理人です。
ちょっと上手く対処できなさそうなレベルだったのでお客様窓口にメールしておきました。
銀色の羽根に白い塗料が飛び散ってるのは流石になあ。

トランスフォーマーリベンジ、やっとDVD借りて来ました。
これから見ます。


オマケは一個前のオマケの続きでやっぱりヴィラルと♀シモン。
新作じゃなくて済みません…。




♀シモンとヴィラルさんの道中。
この後方向性を見失ってる新政府とゲリラの戦いに身を投じたり、シモンが記憶を取り戻して別離ルートになったり色々メモは残っていました。



何の気紛れだったか、その日彼等は山を越えようとしていた。もともと目的地がある旅でもない。思いつきでしかなかったものの高所の眺めにシモンの機嫌は至極良く、中腹には野営に使えそうな洞穴もあった。
食料の蓄えも幾らか残っている。足場の悪い山の中でわざわざ狩りをする必要は無かった。エンキドゥドゥを洞の傍に置いて、あとやるべきことは薪を集めるくらいしかない。それとてこれだけ木が茂っていれば乾いた古木を見つけ出すのも容易だった。
枯れ枝を拾い戻ってきたヴィラルに石を積み上げカマドを作り終えていたシモンが山歩きをしようと言うくらいには暇が出来ていた。断る理由も見あたらずに頷いたヴィラルの手を取り少女は楽しそうに歩き出す。
なにがそんなに面白いのか、暢気なものだ。とはいえ呆れるヴィラルにしろかつて兵士として生きていた頃に比べれば随分思考から棘が抜けている。先を行くシモンの姿を捉え、その服装が古び始めていることを気に掛けているのがその良い証拠だった。戦場であれば服を気にする暇もあるはずがない。
が、あくまで武骨に生を連ねてきた獣人ですら気になるほどシモンの衣服が傷んでいるのは事実だった。そもそも今彼女が着ているものは崩壊したテッペリンからどうにか持ち出した獣人の軍服である。ヴィラルが拾い上げた時シモンがその身に纏っていた青い衣装は血塗れのボロ切れになっていた。代わりにそこらにあった服を与えたものの、それは子供の身には長すぎる丈の上着の腰をベルトで止めて辛うじてスカートに見えなくもないような形になっただけの代物だ。
相変わらず肩の幅は合わず、手を出すために袖が折りたたまれている。しかしいつの間にか脹脛まであった筈の服の裾はシモンが歩く度に膝を晒すほどになっていた。
人の姿は移ろう。ヴィラルとて髪は伸び爪も時には切りそろえるがシモンの変化はそれ以上だった。痩せているばかりだった背中も線の細さを残したまま幼さを脱却し始めている。
……いつまでも、このままではいないのだ。
時はひたすら前に進む、ただそれだけの当然を苦く思う日が来ようとは思わなかった。単調な過去からどれだけ遠くに来たのかを突きつけられる。
だが、まだ数年に満たぬ記憶しか持たない少女の声がヴィラルの思考を断ち切った。
「見て、すごいよ!」
絡めていた指をぎゅっと握り、無邪気に笑った顔が振り返る。空いた指で前を指さしながらシモンは歩む速度を上げた。転ぶぞと注意を促す暇もない。何より、確かに目の前に広がる光景は彼女をそうさせるだけの力があった。開けた視界に滑り込む光が眩しくてヴィラルは手を翳す。
少し地面がせり出しているのか木々が視界を遮らず、そこからは麓の風景が一望出来た。
せいぜいがシモンの踝までしかない背の低い草が風に揺れる。狭い野原を白い花が埋め尽くしていた。
「きれいだなあ……」
溜息混じりに呟いて、シモンはヴィラルから指を離す。ゆるりとした足取りで切り立った崖に近づき彼女は世界を眺めた。青い空を雲は走るように流れている。陽の光を受けて世界は確かに輝いていた。
花と一緒に藍色の髪と服の裾を風に遊ばせてシモンは立ちつくす。世界ではなく彼女の後ろ姿を見つめ、ヴィラルはその傍へ寄るか否かを迷った。
シモンが美しいと評した世界に、自分は映っていない。
おそらくはそれが正しいのだ。血に汚れた闘争の世界に産み落とされた自分は本来彼女が生きるべき世界には相応しくない。或いはヴィラルがあの時連れて来なければ、シモンは彼女の仲間達と共に今も生きていたのかもしれなかった。
下らない自分の逡巡にヴィラルは己へ舌打ちする。シモンの気が済むまで待とうと草むらに腰を降ろした彼は手慰みに花を摘んだ。かつて人の命にそうしていたようにいとも簡単に。
如何に暇があったとは言え、散策に出た時既に日はだいぶ傾いていた。青ばかりだった空に赤が混じり、陽は橙を投げかけるようになるまでそう時間はかからない。夜風へと変わった空気の流れが冷たくそして湿っていることに気づいてヴィラルは顔をしかめた。そういえば雲の動きも速かった。同じ光景を見ながらそこに実利を見出す獣人は今日の宿へそろそろ戻らなければなるまいと思い至る。
旅に慣れてきたシモンも完全に陽が落ちる前に戻るべきだと思ったのだろう、固まったように動かなかった娘が振り返った。併せて立ち上がったヴィラルの隣に駆け寄ってくる。
「……満足したか」
「うん、ありがとうヴィラル」
素っ気ない問いにシモンは嬉しそうに応じた。礼を言われる筋合いはない。言葉の意味が解らずに首を傾げ、考えるより先に戻るべきだと思い直したヴィラルは自分がまだ花を手にしていることに気づいた。そのまま放っても良かったし、かつてならばそうしただろう。だが彼の傍にはシモンが居た。
「なあに」
見下ろすヴィラルに瞬きを見せたシモンが尋ねる。応える言葉を持たない彼は代わりに藍色の髪に白い花を飾った。大きな掌が髪を梳き、そこに何かを残したことにまた眼をぱちくりさせながらシモンはそっと自分の頭に触れる。指先に伝わる感触からそれが何なのか知って彼女はふわりと笑った。
「ありがとう」
戯れに過ぎない行為にまで礼を言われヴィラルは渋い顔になる。それがおかしかったのか、シモンはくすくす声を上げた。その声に感情をくすぐられてヴィラルは余計に眉間の皺を深める。不快、のようなそうでないようなそれを気恥ずかしさと呼ぶことを彼は知らなかった。
「戻るぞ」
無愛想な呟きに頷いてシモンがヴィラルの手を取る。地下育ちの瞳は闇に強いが、獣人には適わなかった。暗い山道を歩くのならヴィラルが先に歩いた方がいい。
来た時よりは若干早足に元来た道を辿ったが、天気の変化はそれ以上だった。山の天気が変わりやすいものだという知識を今更思い出しても何にもならない。道行きの半分も行かずぽつぽつと降り出した雨が木の葉では遮れないようになるまではすぐだった。シモンが足を滑らせることなく帰れたのは運が良かったのだろう。だかエンキドゥドゥが待つ洞穴に辿り着いた時彼等は濡れ鼠に成り果てていた。
立っているだけでぼたぼたと髪から水が落ちる。
「…うわあ」
服の裾を絞ったシモンが水の量にうんざりした声を漏らした。幸い彼女の作ったカマドは雨が吹き込まないくらいには奥まった位置で、ヴィラルが試せばすぐ火が灯る。
「シモン、火の傍に寄れ」
言いながらまだ入口付近でもたもたしている連れに金目を向けて彼はすぐさま視線を逸らした。シモンが服を脱いでいたからだ。
確かに雨で体に貼り付いた衣服は脱がなければ風邪を引く。火を焚いた時にはヴィラルもシモンに服を脱げと言うつもりでいた。にもかかわらず何故自分がこうして後ろめたく俯いているのかヴィラルには理解出来ない。
悩む彼には気づかず、シモンは服を絞って羽織るとヴィラルと火の傍に歩いてきた。中に水の溜まったブーツを乾かすために焚き火に近づけ、ヴィラルの隣に腰を降ろす。
暖を求めてぴたりと身を寄せた少女から身を離そうとしてその自分の反応にヴィラルは眉を潜めた。ぱちぱちと音を立てる火を眺めているシモンは彼の表情には気づかない。代わりに、不意に慌てた顔をして細い指先が藍色の髪を撫でた。求めていたものに触れてほっと息を吐くシモンを不可解に見つめたヴィラルを見上げ、シモンはにこにこと頬を緩める。
「よかった、ちってない」
何がだと尋ねようとしてから獣人は少女の髪にまだ白い花が残っていることを知った。花弁は濡れた髪に貼り付くようになっているが花の体裁は守っている。どこにでもあるようなただの花だった。
「……花など、どこにでも咲いているだろう」
なにがそんなに楽しいのか。シモンを見ては思う疑問を口にしてヴィラルは火に薪を足す。その仕草を眺めながら、シモンは柔らかく応じた。
「でも、ヴィラルが俺にくれた花はこの花だけだよ」
冷たく冷えた白い指が花ではなくヴィラルの手に触れる。人殺しを、してきた指を握る。
耐えきれずに獣人は立ち上がった。目を丸くするシモンの顔を見られず早口に布を取ってくると告げてヴィラルは背を向ける。いってらっしゃいと何も疑わない少女が見送った。
エンキドゥドゥの中に備えた幾つかの物が必要なのは事実ではある。服を脱いでも火を焚いても濡れたままでいれば風邪を引く、食料もガンメンの中だ。コクピットの中に潜り込み荷物を引き摺りだしてヴィラルは口許を歪める。
「……エンキドゥドゥ、俺は、何をしている……?」
ヴィラルがそうであったようにガンメンもまた人を滅ぼすための兵器だ。だというのに今は旅の足として使われ、本来の役割を失っている。ともすれば兵器であることを忘れ去るかのように。
「あの娘は、俺を変える」
呟きは恐れを含んでいた。
戦うために作られながら戦いを失った獣人は少女を確かに恐れていた。その身から定命を奪った王のように特異な力を使うでもなく自分を作り替えていく少女を。
「兵士ではなくなった俺を、別のなにかに変えていく」
語り部となれ。彼の主人はそう言った。
娘は彼になにかになれとは言わない、なににしようともしていない。
ただ傍にいるだけ。その筈なのに、間違いなく彼は内側から変わっていた。
兵士ではない自分など知らない、存在する意義もないと思っていたのにいつの間にか生きることを迷わなくなっている。
その理由が彼女なのは間違いなかった。
お互い命を賭けて殺し合いをしていた相手。同時に同じ場所には存在出来ないはずのもの。だったというのに。
今あの娘と戦えと言われて出来る自信はまるでなかった。彼女が戦う力を失っている、それもある。しかし少女が記憶を、武器を取り戻し目の前に現れたとしても殺せるかどうか。
爪を備えた手を見下ろす。手の鋭さはふるえばそれだけであの少女を殺せた。
だが今彼の腕は布と食料を抱えている。死なぬ身には要らない、されど娘には必要なものを。
「…」
鼻を鳴らし、ヴィラルはエンキドゥドゥから出た。命令に従ってばかりの頃は考える意味すらなかったことに思い悩むほど自分が繊細な精神を持っているなどとは認め難い。過去に彼がその思考を巡らせえなかったのは単に経験の狭さ故だったが彼には知る由もなかった。
雨から荷物を庇い洞穴に戻る。火の傍に座っていたはずのシモンは体を横たえていた。濡れたまま寝たのかと眉をひそめ、そうであるにはやけに無造作に手足を投げ出していると悟ったヴィラルは足を速める。
「シモン!」
呼ぶ声にのろのろと上がった頭がすぐ地面に落ちた。
ヴィラル。応じる声は囁きに近く、不規則な呼吸に飲み込まれる。半開きの唇は青ざめているのに頬は夕陽を受けていた時よりも赤かった。
「しっかりしろ、」
言いながらむしろ自分が取り乱していることを知り、余計ヴィラルは狼狽える。だいじょうぶだよ、言いながらシモンは自分で身を起こそうとして失敗した。慌てて抱き上げた小さな体は濡れた服越しにも熱を伝える。風邪を引いたのは明らかだった。
雨に打たれ体を冷やされたのもそうだろうが長の旅路のツケもあったのだろう。天気が急に晴れから雨に変わったのと同じように呆気なくシモンは体調を崩していた。
獣人とは違うのだ。まして不死身の自分とは。
思い知らされ口端を噛むヴィラルにシモンが笑顔を向ける。ふらつく手が強ばった頬を撫でた。
「ごめんね、だいじょうぶだから」
呂律怪しく告げる言葉が無理をしているのは目に見えている。風邪を引いた方に心労を重ねさせていることを理解してヴィラルは己を叱咤した。
「服を脱げ。体を拭く」
自分に寄りかからせて座らせ、放り出した荷物から布を引きずり出す。大人しく頷いたシモンは水を吸って重くなった服を難渋しながら外した。前を開いて肩を抜きそこで力尽きる。腕に引っかかった袖を抜いて脱がせた服を火の傍に投げてヴィラルは小さな体に布を被せた。暗い洞穴の中、火に照らされて白い肌はやけに眩しい。片手で肩を支えられるようなか細い体だったが前に比べれば間違いなくその身は子供を辞めつつあった。小さな子供だったはずがいつの間にか娘に代わり、遠からず女へと変貌を遂げるだろう。
人の姿は移ろう。獣人の心ですら変わり得る。
今は無防備に肌をさらし命を預けるシモンもいつの日かヴィラルの傍から居なくなるかもしれなかった。その可能性は本来常に彼等につきまとうものだ。シモンの記憶が戻れば今すぐにでも現実となり得る。
それでもいいと思った。
それでも構わない、シモンを殺せない自分がシモンに殺されたとしても構わない。シモンに死なれるよりも、ずっとマシだと。
彼女が離れていく日に怯えても、今彼女と生きていられるのならそれで良かった。自分にはこの娘が必要だ、他のなには無くとも。
思えばヴィラルはシモンの為に生きていた。兵士であったその頃から兜を取り戻し雪辱を果たす為、シモンと戦い決着を着ける為に生きていた。彼女と出会ってから一日たりとも彼女無くして生きた日はない。
そして崩れ行く世界の中で確かに彼は何かを手にしたのだ。その名すら知らずに。
布ごと強くシモンを抱きしめた。その仕草は悪夢に怯える子供のそれだったが彼はそんなことは解らない。ヴィラルに体重を任せたシモンは弱々しく笑った。
「……あったかい」
擦り寄り、頭をヴィラルの胸に預けて藍色の睫毛に飾られた瞼が閉じる。自分を抱く男の腕に手を添え安心しきった顔を見せた病人は掠れた声で呟いた。
「ヴィラルの、しんぞうのおとがする」
永久の命を与えられても、鼓動は昔と変わらない。永遠に動き続ける異形の体に寄り添った娘は不意に表情を陰らせた。苦しいのかと案じたヴィラルの顔をうっすらと開いた瞳が捉える。腕に触れていた手がさっきと同じように頬を撫でた。
「ヴィラルは、ずっと、いきるんだよね」
思わぬ言葉に金色の瞳が揺れる。シモンが言うとおり、彼はもう死ぬことはなかった。死ぬことがないように作り替えられたのだから。シモンに殺される方がマシと思っても、彼女の手がヴィラルを殺す方法は無い。彼女に憎まれ恨まれても生き続けることしか道はないのだ。苦痛に満ちた男の表情に悲しげに目を伏せ、シモンは大きく息を吐く。
「ずっと、いきて」
喉が痛むのか咳込みながらも彼女は言葉を綴ることをやめなかった。
「いきて、いきていきていきていきつづけて、いつかは」
風邪の辛さよりなお苦しそうに、記憶のない娘は死なない男に問う。
「おれのことも、わすれてしまう?」
いつもは笑顔ばかりの顔が悲痛に染まっていた。ずるりと力尽きて落ちた手が薄い胸元に被さった布を握る。いつからだろう、シモンは小さく震えてさえいた。
その震えを、いや自分が震えることを止める為にヴィラルは抱き潰さんばかりにシモンを抱きしめた。
「……忘れん」
涙を隠すために布で覆われた小さな肩に頭を押しつけ、擦り切れた声が誓う。
「隣に、いる奴の面を、どうやって忘れろと言うのだ」
どこか空々しい言葉だと知っていながら言わずにはおれなかった。居なくなる日のことを尋ねた自分の言葉を敢えて逸らした答えに、それでもシモンは頷く。濡れた服を着たままヴィラルの背に腕を回してシモンも彼を抱きとめる。
死ぬな。頼むから、俺を置いて死なないでくれ。声なく訴える男は少女に縋って囁いた。
「……忘れるものか」
シモンが記憶を取り戻さずとも悠久を生きるヴィラルの傍からはいつか必ずいなくなる。遅かれ早かれ別れは必ずやってくる。
解っていながらヴィラルは願った。愚かしくただ願った。
死なないでくれ、シモン。

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