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飯は喰いたし、眠気は強し。 そんな感じののらくら雑記帳。
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Posted by - 2024.11.24,Sun
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Posted by 中の人:狐或いは右端 - 2009.03.15,Sun

自分が自分であることの意味に悩み出したらキリがないのですが、そもそもそんな問いかけは思春期で済ませろというオチ。どうも、管理人です。

ここのところリクエストも消化しないわ、更新も二ヶ月止まるわで閲覧してくださる皆様には盛り上がらぬこと甚だしく、申し訳なく感じております。
かれこれ一ヶ月ちかくマトモに文章を書いた覚えがない…!
いや仕事で文書は書いてるんですが、物語とは別物ですからね…。
リクエストだけでなくネタは色々あるんですが。
村長への溜飲を下げる為だけに腰巾着(だと思っている)シモンを攫って地上に抜け出す悪ニキ
だの
兄貴といちゃいちゃする眼鏡ッ子シモン
だの
グアームとニア姫ネタ
だの
シモンの方が先に告白しためのこ世界
だの
ショタニキの話の切れ端
だの
……羅列してて悲しくなってきました。

そんな中ですごく盛り上がらなそうなネタをオマケにしてしまう自分はどうなんだ…
リクエスト消化、少々お待ちください(土下座)




*本編すらシミュレーションの一環だったよネタ



「よう、おかえり」
軽薄な声音は確かに自分の帰還を認めていた。だが、何故。何処へ帰ってきたというのか。それが分からず思い切り顔を顰めたカミナは声の主へ視線を向ける。
猫めいた笑みで口元を崩した青年が、黒い椅子に座っていた。この部屋はどこもかしこもつるつると黒く煌めいていて、広さも高さもなにも知れない。不気味さに歯ぎしりするカミナを、青年は鼻で笑いながら見つめ返した。
「まあ、ご苦労さん、といったところだな。
 お前は死んだ。シミュレートの中にはもう存在できない。
 で、今後の参考のために知識と経験を抽出した、と」
流れる音の意味を把握できず、カミナの眉がひん曲がる。それを予測していたように、ますます小馬鹿にした声が注いだ。
「多元だなんだと騒いじゃいるが、全部アンチスパイラル様とやらのシミュレートさ。
 全てが可能性の実験場に過ぎない」
ふ、と青年が指先を持ち上げる。応じて黒滑な床と天井と壁に緑の光が線を描いた。文様めくその姿に目を奪われ、だが光源を得たことによってカミナは今こそ相手の姿を正しく認識できるようになっていた。
 …そこに、いたのは。うねる管が背面に取り憑いた黒い椅子に座る青年は、空色の髪と夕刻色の瞳をしていた。その膝の上には藍色の髪と灰色の瞳をした少年が首輪をつけられ座らされている。首輪から続く鎖は青年の腕に絡まっていた。
道理も分からず飛び出し、青年の襟首を掴もうとしたカミナに、同じ造型を持ちながらも確かに違う人格を持つ存在が笑った。
「こいつは俺が"教育"したんだよ」
軽く腕を上げただけで短く保たれた鎖が擦れ、少年の細い首が無理矢理上向かされる。苦しげな様子に慌て、大丈夫かと気づかうカミナは青年から手を離していた。狼狽える様を観察し、やはりどこか余裕と毒気のある笑顔のままで青年はぐるりと部屋を見回す。
「お前だって弟分を利用してんじゃねえか。
 自覚してねえ分タチが悪ィ…いや、解ってて逃げてんのか?」
青年の夕陽の瞳が滑るたびに、緑光のグリッドで分割された壁や天井や床にありとあらゆる映像が映し出される。脈絡もなく見えるその像の共通点はただ一つ。
シモンが映し出されている、ということだった。
気づき、息を呑んだカミナは手近な画面に縋り付く。そこでは細身のシモンが今まさに死刑判決を食らおうとしているところだった。隣の画面では死刑囚の姿に身をやつしたシモンがいる。時系列順なのかどうか。床には、自分が死に別れたときの姿に近いシモンもいた。酷い面構えで食事を摂っているのかも危ういのに、部屋でドリルを回している。
「…とにかく、"これ"がお前達という世界での可能性、ってわけだ」
まとめたつもりなのだろうが、カミナの中では一切が理解できていない。
睨み付けるカミナをあしらうように膝の上の少年を撫でて、青年は説明を始めた。
「人間には…というより、二重螺旋の遺伝子を持つ生命体には、螺旋力という力がある。これは諸々の説明をさっぴいて言えば、人間の感情に呼応して出力が高まる。
 燃料は人間の感情だけで良い、ってわけさ。
 そこにきて、生き物ってのは自分に近い遺伝子を残そうと奮戦するもんだ。
 螺旋力を戦争に使おうとするのは、まあ当然の結論だな」
カミナの理解不理解には興味がないのか、うり二つながら全く異なる表情を宿す青年は子供の姿をした相棒の髪を弄る。
「だがどんな力もそうであるように欠点だって存在する。
 無尽蔵なエネルギーは裏を返せば永遠に戦い続けるための動力だ。
 戦いに人間の心は摩耗する。
 そしてその虚無に反応した螺旋力は───世界の崩壊を呼び起こす」
シモンを移していた画面が急に暗くなった。見とれていたカミナは嫌が応にも青年に視線を向けざるを得なくなる。
「そこでアンチスパイラルという一派が考えたわけだ。
 有る一定以上の人数に増えないこと。
 軍備に関しての研究をこれ以上行わないこと。
 …全て種としての螺旋族を守るための行為だな」
くつくつくつくつ、青年は笑う。嘲笑う。主人の気分を察したのか、少年が柔らかな肌を青年に擦りつけた。
「で、小競り合いの末アンチスパイラルの意見が勝った。
 だが人間ってのは個々の欲望に弱い生き物だ。
 イレギュラーがいつ起こるかは分からない」
そこで、と青年の指がカミナを示す。うさんくさそうな顔を見せたカミナに、それでなくてはと青年が口端を上げた。
「アンチスパイラルはシミュレーターの中に限定状況を作り出し、世界崩壊が起こらないルートを探り出すことにしたわけだ。
 ある程度初期条件を揃えて、そこから先は参加しているデータの自由意志で進められる。勿論、崩壊した世界もあったぞ。
 この部屋ではそのシミュレーション結果を統括して統計にかける作業を行ってる。」
カミナは口を開き、言葉を探して間抜け面を晒したあと、盛大に舌打ちした。
「つまり俺のしたことは、誰かさんが用意した舞台の上でだった、ってことか?」
「ご明察」
ケラリと笑い、でもまあ意志まではコントロールされてないからやったこと自体は自由意志だなとフォローらしきものが入る。
「空に憧れたお前の跡をシモンが継ぎ、シモンは地上を手に入れ…アンチスパイラルの逆鱗に触れる。このタイミングでならお前からの干渉も可能だな、まあ先の話だから適当に考えていてくれ。ここは時間経過がいいかげんなもんだからな」
子猫にそうするように少年の顎をなで、青年は椅子の上で足を組む。
「最良のシミュレーション結果が出るまで、本当の宇宙は眠りについているのさ…どれが最良かなんてものは解りゃしないくせにな」
しゃっくりするような笑いが広い室内に響く。カミナはこの場から去ろうとして、しかしシモンを見届けようという欲求に負けた。
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