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飯は喰いたし、眠気は強し。 そんな感じののらくら雑記帳。
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Posted by - 2024.11.27,Wed
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Posted by 中の人:狐或いは右端 - 2009.01.17,Sat
無力なカミナにお説教する話の筈が何故か逆に…
ギミースマン。
カミナが説教される話も勿論用意してあります、…プロットは…
プロットだけは無駄に沢山あるんよ!






今日もまた、学内で問題を起こした。
その報告はダリーにも、そしてギミーにも届いていた。
政府の中で持て余された微妙な立場のカミナの情報は、一応リーロンの管轄ということになっている。グラパール隊隊長として開発局に顔を出すことも多いギミーは、本日のカミナに関する報告を聞き届けて顔を歪ませた。
「能書き垂れるだけなら誰でも出来んだよ」
苛立つギミーが吐き捨てる。20にこそ一つ足りないが、五年間エースの座を誰にも渡さなかった青年は自分を見るなり嫌そうな顔を隠さなかったカミナを睨み付けた。
所属を示す制服すら着込まず、自分のやりたいようにかつて英雄が来ていたジャージを羽織ったカミナは挑む視線でギミーを見上げていた。
「いったいお前に何ができる?」
仁王立ちしたギミーは片腕を外し、カミナの鼻面へ指を突きつける。
「他の人間よりも何か一つでも秀でたところがあるかって聞いてるんだよ!」
怒鳴り声はビリビリと室内の空気を振るわせた。技術局のメンバーが頼るようにリーロンを見つめるが、リーロンは敢えて口を出そうとはしない。
まっすぐに自分を見上げる灼熱の視線に舌打ちを挙げ、ギミーは浮かぶままに言葉を叩きつけた。
「…5年前、俺は、14で…あの人が英雄になったのと同い年で…
 それで、グラパールのエースパイロットだった!」
誇らしかった。嬉しかった。疑問なんて一つもなかった。そんな時代がギミーにもある。
だが、それらは否定された。
「あの人の元で正義だと思うことをしてきた!
 間違ってるだなんて思いもしなかった!」
ギ、と握った拳でグローブが擦れ引き攣れる。カミナに叩きつけなかったのはギリギリの理性だった。歯ぎしりし、空気の塊を飲み込んだギミーは憎々しげに言い募る。
「みんなが幸せになれるんだと信じて疑いもしなかったんだ!」
殴る代わりに見慣れた、しかし年月と共に色あせた藍色の襟首を掴んだ。不愉快そうに腕を払おうとするカミナを許さず額をぶつける近さで赤い眼を睨め付ける。
「結果はどうだ!?この有様だよ!」
勢いを付けて手を離し、突き飛ばした少年が床にへたり込む事をギミーは望んだ。だが空と同じ色の髪を持つ少年は軽くたたらを踏んだだけでまっすぐに立ち、年上のエースを前にして一歩も引かない。
「うだうだうだうだどいつの正義!こいつの正義!
 お前の正義ってのぁ何処にあんだ!」
今度指を突きつけてきたのはカミナの方だった。惑いのない、悩みのない、純粋で、だからこそ罪深い視線に頭のどこかがシクシク痛む。舌打ちしてギミーは事実を並べた。
「正義なんて時代で変わる!」
実際に、今世界を支配しているのは地球人類ではなくアンチスパイラルだ。螺旋王から総司令へ、総司令から反螺旋へ。指導者が移り変わるたび法は変わり、正義の基準は移ろう。
目元を歪めたギミーに、しかしカミナはこともなげに言い放つ。
「男なら一本ビッと自分の仁義通しやがれ!
 そうでねえからああでもねえこうでもねえと後悔だけは一人前になんだ。
 お前と妹みてぇにな!」
思わず息を呑まされたギミーに、鼻を鳴らしたカミナが背を向ける。それを留めなければならないはずだったのに腕が動かなかった。
「リーロン、先帰るぞ」
お前になんぞ用はないと言いたげに、気軽な声音が保護者に向く。ひらひらと手を振って了承を示したリーロンを見るとカミナはなんの名残も無く部屋から出て行った。
空っぽになった掌を見下ろし、もう一度握り、また開く。
己の仕草を茫洋と見下ろしながらギミーの喉の奥に苦みが走った。グラパールのエース。人々を守る戦士。なのに易々とムガンに負け、ムガンを制する装備を得た今でさえ各地に出現するムガンを倒しきることができない。装備も人員も足りないからだ。
何か言おうとして、出来ないでいるギミーから開発局の面子が視線を逸らしていく。いたたまれず、しかしカミナと同じ扉をくぐることも出来ないでいるギミーに静かな声音が降り注いだ。
「…あの子の親、あの日のムガン爆発で亡くなったのよ」
知ってた?と手元のコンソールから瞳を外しもせずにリーロンが呟く。
勢いよく振り向いても男とも女とも知れない相手はギミーを見ようともしなかった。
あの日のムガン。ギミーはよく憶えている。いや、誰もが記憶に残っているだろう。
アンチスパイラルの宣戦布告と共に現れ、カミナシティに甚大な被害をもたらした兵器。
グラパールは、その前にあってあまりにも無力だった…。
「くそっ!」
幼児めいていると解っていながらギミーは床を蹴り飛ばす。行き場のない思いは、今この星で生きている人間ならば誰もが抱え込んでいるものだった。
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