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飯は喰いたし、眠気は強し。 そんな感じののらくら雑記帳。
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Posted by - 2024.11.24,Sun
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Posted by 中の人:狐或いは右端 - 2009.12.23,Wed

まだまだ続くよ設定羅列回!
という訳でヴィラルさん登場の巻なのですが、単純に設定の話しかしていないので面白みは特にありません。
ひとまずここまで書いておけばもう次回最終回でもいいかな…みたいな…。
ヴィラルどんとショタニキの特訓話は書きたいような気もするのですが。







シミュレーターの全方位モニターに、演習終了を示す文字列が映し出される。クリアランクは最高位。だが既にその数値に慣れきってしまったカミナは、感慨もなく操縦桿から手を離した。所詮はまがい物の戦いでしかない。やらないよりはマシ、というところだった。
気休めかストレス発散か微妙だと自覚している彼は皮肉に口元を歪める。足下にある開閉装置をけっ飛ばし、正面のシャッターを開いた。
「キタン、これよぉ……」
もっと難しいステージはインストールできないのか、と尋ねようとして途中で言葉が止まる。口から先に生まれたような彼にとっては珍しいことだった。
カミナの視界には男が三人。一人は居て当然のキタン、そしてもう一人が少年から言葉を奪った存在だった。現総司令、ロシウ・アダイ。やたらと外に出ていて良い身分ではないし、そもそもここでの訓練は極秘裏に行われているはずのものだった。最後の一人はカミナの知らない男で、長い金髪を後ろで括っている。
訝しんで警戒するカミナに対して最初に声を上げたのは、予想に反してその最後の一名だった。やけに尖った牙と、組んだ腕の太さが人ではないことを伝える。空色の頭の少年を一目見て軽く瞼を閉じ、男は軽く鼻で笑った。
男の態度にカミナは憤る。軽く見られるのは本意でなかった。身軽にグレンから飛び降りた。睨み上げるカミナを映した片方だけの瞳が値踏みの色を浮かべる。
「これが"例のガキ"か」
「ああ」
尊大な声音に肯定を返したのはロシウだった。逐一偉そうな態度に苛つくカミナの頭をキタンの手が押さえる。
「こいつはヴィラル。見ての通り獣人だ」
空いた手の親指で金髪の男を示し、キタンは顎をしゃくった。ヴィラル、と呼ばれた男は挨拶をする気もなくじっとカミナを見ている。視線を逸らすと負けるような気がして、カミナも睨み返した。
「でもって、スゴ腕のガンメン乗りでもある」
「ガンメン乗り?」
今となっては珍しい呼び名を、思わずカミナはオウム返しにする。丸くなった目に構わずヴィラルは頷き、一歩前に出た。
「カミナ……カミナ、か。よくよく渦を生む名だな」
獣人は僅かに背を折り、目の高さをカミナに合わせる。鋭い爪が少年の心臓に押し当てられた。それでも一歩も引かない胆力を少しは認めたのか、ヴィラルの口の端がつり上がる。
次いでその唇から紡がれたのは、想像の埒外にも程がある台詞あった。
「貴様はグレンラガンに乗る。
 コアドリルのマスターとしてな」
「は?」
俄には飲み込めずにいるカミナへ、ロシウが平板な声音を積み重ねる。
「決定事項です」
落ち着き払っているからこそ、それが事実なのか疑うことは許されなかった。勢いよく振り返る少年を見下ろして、ロシウは色味のない音を綴る。
「貴方がシモンさんと共に箱船に送られたのは、コアドリルの適格者だったからです」
違う。
否定が即座に頭に渦巻く。俺が箱船に乗ったのは、シモンと一緒に居るためだ。シモンを独りにしないためだ。だから追い縋った。泣いて叫んで連れて行ってくれと頼み込んだ。
一面から見ればそれは現実ではある。───けれど、もう幼さを脱却し始めたカミナの理性はロシウの言を飲み込み噛み砕く。そう、確かについていったのは自分の意志。だが何故それが許された?
「螺旋力を感知され、貴方が消されないように。
 或いはアンチスパイラルの地上に対する攻撃で命を落とさないように」
重罪人、追放者、シモンのための永遠の牢獄にどうして同行できたのか。手続きをする余裕が無かった、などというのは方便だ。急なこととはいえ地球の存亡を賭けた一大事、イレギュラーは極力排除されて然るべき。
ならば、ならば。
「シモンさんの螺旋力を隠れ蓑にすることで、貴方を保護してきました」
自分は、『イレギュラーなどではなかった』のだ。
感情が抗おうとするのに、否定材料がみつからない。愕然とするカミナの襟首をヴィラルの手が掴んだ。
「呆けるな。貴様は鍵だ、自覚しろ」
ばちん、と乾いた音が部屋に響く。気づけばカミナは床に転がっていた。頬を張られたのだと遅れて気づく。いつもなら怒り殴り返していただろうが、今のカミナはそれどころではなかった。
「全ての螺旋力は遍くアンチスパイラルに監視されている。
 だが我々獣人に螺旋力は存在しない。故に決戦兵器を建造することが出来る」
決戦兵器、と聞いてカミナの眼に光が宿る。戦う相手が誰なのか、考えるまでもなかった。それはカミナが願い続けてきた争いなのだから。
「それでもそれを起動させるためのエネルギーは螺旋力です。
 また、莫大な螺旋力を制御するためにはコアドリルの存在が欠かせません」
自分の耳に聞こえるくらい、心臓が強く波打った。爛々と輝くカミナの双眸にキタンが楽しげな笑みを浮かべる。
「もうこのシミュレーターの訓練じゃぁ物足りねえだろ?
 その為のネタばらしって訳だ」
キタンは親しげにヴィラルの肩に腕を回し、鬱陶しげに振り払われた。それでも構わず笑ったまま、二代目大グレン団リーダーはカミナに手を伸ばす。
「ビシッとしやがれ!」
立ち上がらせられたカミナは大人たちの顔を見回した。まだ幼さの残る容貌には、甘えなど微塵もない。それどころか不敵な表情に彩られていた。
「応。俺を誰だと思ってやがる!」
バチン、と両手を拳にして叩き合わせる。背負った炎髑髏の模様が、笑うように揺れた。

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