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飯は喰いたし、眠気は強し。 そんな感じののらくら雑記帳。
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Posted by - 2024.05.03,Fri
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Posted by 中の人:狐或いは右端 - 2008.05.29,Thu
こないだの金曜日だかなんだかに秘密結社鷹の爪の映画版をテレビでやってたのを見た覚えがあるのだが、どのようなストーリーであったか細部を思い出せない。
日曜日にゴーオンジャーのあとキバも見ていたはずなのだがこちらも細部を思い出せない。
そしてNGに貸すと約束したフォトショップの使い方書籍を貸すのもサッパリブーと忘れていたのであった。
ありとあらゆるものを置き去りにした人間、管理人。
そろそろ脳細胞が死に去るのではないかと、割と結構と不安です。
単に忘れっぽいだけだ。



オマケは現代パラレル?みたいな感じで頭の弱い21シモンと17(14かも)カミナ。
状況説明してるだけなので面白いかといわれるとゴメンナサイって頭を下げるよ!
なんかヤクザんち系パラレルは結構ネタが多いです。
ダメニキを匿う兄貴の情夫のシモンとかそんなん。微妙なネタばっかりだなもー






何が楽しいのかにこにこ機嫌の良さそうな顔をして俺の食事を眺めていたシモンが、ふと膳に目を落として首を傾げた。元から丸い目を更にまんまるくさせて何度か瞬きする。幾度目かの仕草にやっと気づいて俺が目を向けると、ガキみてえに首を傾むけたシモンが顔を上げた。今度は殆ど骨だけになった魚と俺の顔を見比べる。なんだなんだ、何があったんだと箸を止めた俺にのんびりとした質問がかかった。
「兄貴、前は煮魚あんまり好きじゃなかったよね」
喉の奥を通り過ぎようとした最後の一口が変な方向に入ろうとする。危うく咳き込まずに済ませられたのは奇跡みたいなもんだった。引っ掴んだ湯飲みから冷めた茶を煽って一息吐いて、俺はどうにかその合間に答えを用意する。
「…この歳になって好き嫌い言うのもダセェだろ」
「そお?」
理由高なんだか解らない言葉にも納得したらしいシモンに胸を撫で下ろした。男にしては白く細い手、病気に浸った指先が空になった湯飲みに茶を注いでくれる。
「おかわり要るでしょう、兄貴?」
言いながらシモンは痩せた首を縁側に向けて人を呼んだ。音もなく現れた着物の姉ちゃんに飯の追加を指示しておいて、俺の茶碗にはシモンが手ずから飯を盛る。
「兄貴、いっぱい食べてね」
至極楽しそうにそんなことを言うシモンの膳は殆ど手つかずだった。成人した男とは思えない食の細さで満腹らしい。
「シモンもちゃんと食えよ」
文句をつけながら漬け物で飯をかっ込む俺に、そうだね兄貴とふらふらした笑顔でシモンは頷いた。その合間に今度は別の姉ちゃんがお代わりを運んできて俺の隣に並べる。この姉ちゃんもさっきの姉ちゃんも、俺には見覚えがなかった。このクソでかい屋敷に一体何人の人間がいるのか皆目検討もつかない。姉ちゃんはシモンの顔も見ずに無言で座敷から居なくなっていた。
「おいしい、兄貴?」
姉ちゃんの挙動なんざ全く気もかけずシモンは俺だけを見ている。縦に首を振って見せるだけでシモンは子供みたいに喜んだ。これでもう二十一だなんて言われなければ誰も解らないだろう。
しかしシモンはもう二十一で、疾うに成人で、そして俺を兄貴と呼ぶ癖に俺よりも年上なのだった。
シモンが本当に兄貴と呼んで慕っていた人間は居ない。半年前に死んだのだ。傍若無人で、好き勝手やって、シモンにも暴力三昧だったとシモンの病気を診ているリーロンは言っていた。だというのにシモンはこうして兄貴ではない俺を兄貴と呼んで可愛がるくらいにその男を愛していた。
だがそいつを慕っていたのはシモンくらいのものだった。デカイこの屋敷の中を敵だらけにしたせいでシモンの兄貴はおっ死んだ。よくある御家騒動…なんだろうか。俺にはよく解らない。俺の親父がヤクザの息子だったなんて知ったのはついこの間だった。そんな俺には、事情を説明されてもどうにも別世界の話みたいなもんだ。
俺の爺は先々代のここの親分で、長男だった親父が跡継ぎになるのを嫌がって出奔したから親父の弟が先代になった。で、どっかだかとの抗争で俺の叔父貴も死んだ。
そこで跡を継いだのが叔父貴の長男、シモン曰くの“兄貴”。でもこいつは性格が悪くて我が儘で世話役のジジイ共の会議も意向も全部無視して好き勝手やって、危うく組全部がしっちゃかめっちゃかで壊れちまう寸前までいったらしい(らしい、というのはその頃俺は暢気に親父の息子として余所で暮らしてたからだ)。
そこでジジイ共はシモンの兄貴を謀殺した。俺が関わってくるのはここからだ。
残された先々代の血を継ぐ子供は三人。先代の娘のニア、先代の妾の子のシモン、それから先代の兄の息子である俺。
ニアは女の子だから後継者としては除外、俺だって家出野郎の子だから論外とすれば残るのは妾腹のシモンしか居ない。ところがシモンは“兄貴”が謀殺されようとしていたのに気づいて、庇って一度毒杯を煽った。ジジイ共は“兄貴”の気を狂わせて大人しくさせて、取り敢えずお飾りにして自分たちで組を切り盛りしていくつもりだったらしい。でもそれはシモンのせいで失敗したんで、結局割合直接的に“兄貴”を殺したようだ。
まあそれは俺とはあんまり関係ない。問題は、俺が“兄貴”とやらと顔がよく似ているってことだ。記憶の壊れたシモンは“兄貴”がいないと知るや昼夜も無く泣き叫んで暴れ回った。生まれつき身体が弱いのにそんなことをしていたら早晩シモンも死んじまう。
実はニアには許嫁が居て、これがうちよりでっかい組の頭領で、んでもってニアを嫁にした後うちを吸収合併するという案もある。勿論自分たちの権力が弱まるからジジイ共はお断りだ。ニアだけ嫁に出して、向こうさんと提携して“兄貴”のせいで弱まった力を回復させたい。
だからジジイ連中はなにがなんでもシモンに生きていて貰わなくては困るのだ。傀儡に出来る頭がいないと自分たちの権力の後ろ盾が無くなるから。
そこでシモンの正気を曲がりなりにもつなぎ止める為に俺はこの家へ呼び出された。お袋は早くに死んでいて、親父も外国に石油堀りに行ったきり行方不明、明日食う飯にも困っていた俺を屋敷に呼びつけて、出奔した親父の責任を取れと突きつけた。
お断りだと蹴ってやっても良かったんだが、暗い座敷に寝かされたシモンが動かない脚を引き摺って泣いて俺を兄貴と呼ぶから振り捨てる訳にもいかなくなって、俺はこうしてここで暮らしている。
シモンの“兄貴”のふりをして、シモンの見る幸せな夢のために嘘を吐く。
年上のくせに俺を兄貴と呼ぶシモン、決して俺をカミナとは呼んでくれないシモン、だけどとびきり俺に優しくて誰より俺を愛してくれるシモン。
生まれついて患った病で不可思議な色を放つ光彩に見つめられ、もしカミナと俺の名を呼んでくれれば俺ももっと幸せになれるのだけども。
もし私がお嫁に行って、あの人がここのおうちを奪っていってくれたら、その時はもっと自由に暮らせる場所を用意しますからねとニアは真剣な顔で俺に約束した(シモンに言ったってシモンは理解できないからだ)。
だけどこの歪んだ箱庭、“兄貴”の匂いのしみついた屋敷からシモンが離れる日など来ないだろうことを俺はなんとなく解っていた。
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