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飯は喰いたし、眠気は強し。 そんな感じののらくら雑記帳。
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Posted by - 2024.11.23,Sat
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Posted by 中の人:狐或いは右端 - 2008.06.01,Sun

前置きっつーより言い訳なんですけども。
えーほらあのえーとほらえーなんだこの、グレパラってあるじゃないですか?
映画公式で多元宇宙とか宣われちゃってこっちの居場所が無くなるよどうしてくれんの、みたいな企画。
あれの中にどうも「これ若い頃のロージェノム殿ではなかろうか」みたいな長髪兄ちゃんいるじゃないですか。
DVDの追加カットとか見ても一応ロージェノムさん若い頃髪の毛長いみたいなんですよね、ってそれはあんまり関係なくてですね、でも管理人はロージェノムさん大好きな登場人物なんですよ。そりゃピンで妄想もしたくなるってもんなんですよ。
だから勘弁!ってことで今回のオマケは特殊の方にいくつか置いてる弟分の人との話だよ!
載せんな!って感じですが、一応ほらこれMさんへの御礼企画の一端だから!ね!
Mさんさえ喜んでくれればいいんだよ的な言い訳を胸に載せておくよ。
だから管理人は設定バカっていうか設定とか状況とか考えるのが好きな病気なんですよってば!ね、ほら、ね!!
今後もちらほらこれ系のネタがオマケに来たら済まんことです。
これ載せるよりアバンさんを触手でいたぶってみよう企画の方をなんとかした方が良いような気がするのであった。


ネタ自体もそうですが文章もあまり他人様に読んで頂くことを前提に書いていないので非常に読みづらいです。ごめんなさい。







二度目に相手を眼にしたのは無菌室の中で眠らされている姿だった。病棟ではなく研究棟に収容された子供は目蓋を閉じ、ロージェノムが与り知らない技術を組み込まれた管を無数に貼り付けられている。それは賊の艦での扱いとそう変わらないように見えた。他の押収物と並列にされているに過ぎないのだろう。しかしモノと子供を同じように並べる無遠慮を目の前で示され、ロージェノムはそれが自分の中にもある浅慮なのだと気づいて歯がみした。
三度、四度と腰の高さから頭の近くまでの透明な覗き窓から見舞い、幾度めだか忘れた頃にやっと子供がうっすらと目蓋を開いている姿に出会った。半分も開かないまま宙を眺める双眸は、下手をすれば閉じていると勘違いしただろう。そうならなかったのは片目からきらきらと輝きが零れていた所為だった。緑か白か、煌めくというよりは濡れたような光。小さな身体に秘められた力の片鱗を溢れさせながら子供はぼんやり宙を眺めていた。鎮静剤でも打たれているのか意識があるとは思えない虚ろな目線。己の庇護者が賊だろうが政府だろうが彼自身にはなんの違いも生まないだろう。
眺めている間に研究者が無菌室の中に現れ窓にシャッターが降りた。その一瞬前、姿勢を直すために抱き起こされた子供の首が力なくかくりと折れる。意図もなく茫洋とした瞳が閉まる直前の窓に向いた。視線が合った、とも言えない刹那にロージェノムは眉を寄せる。研究の合間の治療で幾分か幼い顔の血色は良くなっていたようだったが、それを好ましくも思えないまま彼はその場を後にした。
その後半月任務に就き、ベースキャンプに戻ってから向かった病室に子供の姿はなかった。何があったのか、研究素体として解剖される訳でもあるまいにと解っているにも関わらず狼狽する。とはいえ、自分自身の混乱への戸惑いの方が余程大きかった。任務中に助けた子供、ただそれだけだ。研究棟へ足を向けたのも気まぐれだった。そこに深い意味などないと思っていたが、違っただろうか。
任務の間に伸びた髪を掻き、やはり誰もいない明かりさえ点いていない部屋を覗いているロージェノムに、知った声がかかった。呆れたような調子でまた来たのかと尋ねたのは馴染みの医師だった。何度か同じ部隊を組んだこともある。ロージェノムの頭から足先までを見、それからやる気無く耳の裏を掻いた医者は、あの子供なら病棟に移ったとやはり呆れた声音で教えた。
そうか、とどこか安堵しながら頷く同僚に、あれだけ何度も来ていれば眼につく、ただでさえお前は図体がデカいから、とぶっきらぼうに医者は言い、それはそうだろうなと本人も認める。
見に来るかと言われ、なんとなくついていくことにして、さて自分はそんなにあの子供に固執する必要があるのだろうかとロージェノムは今更考えた。その前をのんびり歩き、白衣のポケットに両手を突っ込んだ猫背の医者は、俺は小児科医じゃないんだがと本気でもなくぼやく。
死にそうな怪我人を見ていた方が気が楽か、と尋ねたロージェノムに、触れて腕が折れそうな子供も怖いと白衣の肩が竦められた。それはそうかもしれないと納得している間に一度喫煙室に寄り道され、それからやっと病棟の、やはり特別室に案内される。無造作に扉を開け放つ同僚に、研究棟とのあまりの違いに馬鹿馬鹿しさを感じた。
部屋に入り衝立のカーテンを医者がまくる。その向こう側で意外にも子供は椅子に座らされていた。てっきり横になっているのかと思っていたロージェノムは、自分が子供が寝ている姿以外殆ど見たことがないせいなのだと思い至り苦笑する。インナーマッスルが弱っているのだろう、車椅子に収まった子供は左右で色の異なる瞳を瞬かせ、大儀そうに頭を下げてこんにちはと告げた。声帯も力が無いのか声はか細く、よう、と医師が掛けた声にかき消されるような音量しかない。
見知った医者よりも頭一つ丈が高く身体も大きな自分に子供が怯えるかと遅れて気を回したロージェノムをくるくる円を描く瞳がまっすぐに見つめた。意外な程の眼力に応え見下ろすと、眼を細めた子供はアナタはオレをたすけてくれたヒトですね、と囁く。あの時のことを覚えているのかと瞠目したロージェノムに、アナタのさわったことをおぼえています、と意の汲めない言葉を子供が返した。
惑って眉を寄せたロージェノムを見て医者が、この子は人を螺旋力で見分けているらしいと入れ知恵する。言われて見れば、子供の両眼は燦めきを宿す瞳の方が幾分仕草が細やかだった。もう一方に比べて目蓋が器用に動き、目尻が緩急を持ち、表情を宿す。石膏のような目鼻立ちと皮と筋ばかりの体つきの中で、緑の光が子供は人形などではないことを表していた。
たすけてくれてありがとう。至極真剣に伝えられた礼を素直に受け取って良いものかロージェノムは迷う。あれは任務の一環で、そして子供は相変わらず自由に出歩くこともままならないままこの病棟に囚われているのだ。治療を施しているのは慈悲ではなく、なんらかの利益を見越しているからだろう。
返事すらしなかったロージェノムを責めて医師が脇腹を肘で打つ。痛くも痒くもなかったが軽く腹が立ったので脳天に拳骨を落とした。理不尽さに本気でもない怒りを見せた医者の靴がロージェノムのブーツを踏みつける。親しんだ人間同士がじゃれあいを始め子供の目が丸くなり、それから慌てて二人を止めようと細い腕を伸ばした。届きもしない手があたふたと宙を掻く。その動きが妙におかしくて、ロージェノムは声を上げて笑った。からかいを含むその笑いにぱっと子供の頬が赤くなる。肩を縮こませて両手を膝の上に揃え、男か女か見分けの付かない幼子は押し黙った。
流れた気まずさに医者は不満そうな眼をロージェノムに向け、大男は頭を掻く。しかし意外なことに口火を切ったのは子供の方だった。
アナタのナマエは、とやけに必死な口調で問われる。ロージェノム。長い音の連なりを与えられ何度か口の中で繰り返した子供は、ろーじぇのむ、と慣れない発音で男を呼んだ。なんだと問い返したロージェノムに子供はくすぐったそうに首を竦める。
その子供が自分の名前さえ持たないことをロージェノムが知るのは、もう少し後の話だった。
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