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飯は喰いたし、眠気は強し。 そんな感じののらくら雑記帳。
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Posted by - 2024.11.23,Sat
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Posted by 中の人:狐或いは右端 - 2008.06.03,Tue

GUNPEIは画伯すぎる…
あと渡の中の人、お父ちゃんの演技上手すぎだ、お父ちゃんにしか見えなかったぞ!
そしてケンゴを脚本の人が忘れていなかったことに安堵しました。

そういや色々と映画前売り券に関して脳が混乱してましたが、つまりええと今更劇場にチケット買いに行ったって売ってないんだろうから、六月から販売開始の別特典チケットを買うんでOKってことでいい、んだよな…?そもそもポスターって貼らない人間だからこれでいいんだな。よし。
で、七月の方の特典を間違わないように劇場で買う、と。
特典の付き方を割と勘違いしてた脳のバカさ加減にあきれ果てましたよ自分で…寝ぼけた頭で見るものではないな…


と、いうような雑記を日曜日に書いていたようです。
たまたま発見したので置いておいて、ついでにオマケ。
今回もロージェノムさんと弟分の人の話、グアーム絡みでドン。
グアーム台詞一個もないけど。
これだけだとあんまりなんでもう一個オマケつけられるか試してみます、母の隙を窺いつつ。




一応二本構成です。




お前の無神経さにはほとほと呆れる、と医者が言った。
今度ばかりはロージェノムも認めざるを得なかった。
だがその愚鈍な言葉を聞かない振りで子供は与えられた獣を興味深そうに眺めている。柔らかいのか硬いのか、そっと触れただけでは俄には解らない生ける鎧を追っておっかなびっくり指が動いた。しかしその手をすり抜けてまだ沈着も薄いアルマジロの仔は煩いくらいに元気よく寝台の上を駆けずり回る。端から落ちるのではないかと気を揉む子供の前でアルマジロはシーツを巻き込み転んだ。
その動物は、人畜共通感染症の研究用にと準備されたものだという。ただそいつの順番が回ってくる前に研究は一応の成果を収め、さてどうしたものかとなった。研究に使ったのならばらして保管もするが、健常体を切り分けても意味がない。比較用の資料は既にあった。
行き場がないその生き物を持て余しているのだとロージェノムがたまたま小耳に挟み、檻を受け取ったのは気まぐれだった。生き物の世話など柄ではないし、小動物を愛でる趣味もない(と、示せばおそらく今隣で頬杖をついている医師はゲラゲラ笑い、少年はきょとりと目を丸くするだろうが)。
だが始末されると言われた動物を前にしてロージェノムの脳裏には病室に籠もったままの子供の姿を思い出した。同じように檻に入れられたと言えばあまりな言い種だが実態はさほど変わらない。彼は日々を検査と実験と、あとは医者が暇つぶしのように与える教育で過ごしていた。
無聊の供となるか、同族のよしみか、どちらと判断したのか本人も自覚しないままロージェノムはアルマジロを抱えてもう殆ど日課となった来訪を果たした。知識としては知っていても始めてみるのだろう、己より更に小さな生き物に少年はすっかり心と瞳を奪われていた。差し出され、遠慮がちに撫でて鳴き声を上げられてはびくりと肩を振るわせる。どちらが怯えているのか判らない有様ながらも子供は嬉しそうに訪ねた。
この子はどこの子ですか、と獣の仔を人の子のように問い、研究室の奴だと言われると互い違いの目が不安そうに光を散らつかせる。こんなところにつれてきていいんですか、とまごついて引いた手を腰の後ろに隠して戸惑う。
実験が終わって処分されるところだったのだ、とロージェノムは率直に応じた。刹那幼い双眸の片割れから粉のように光が弾け、痩せた身体が硬直する。それでも彼は一瞬の不自然な反応を押し隠してそうですかと頷いた。
アルマジロをベッドに下ろしてくれとせがまれ従った大男の脛が後ろから思い切り蹴飛ばされる。振り向けば医者が、かつて付き合っていた女に無理矢理禁煙させられていた頃のような渋い顔を見せていた。反応の意味と失言に気づくのに微かな間があり、その隙に子供はもうアルマジロに夢中になって…少なくとも、そのふりをして…いた。
ちょろちょろとくすぐられて獣がぐるりと丸まる。その様が楽しいのかはしゃぐ声がやけに甲高かった。どこから押し出した音なのか苦虫を噛み潰した顔を見せるロージェノムを無視して医者が明るく告げる。
それ、貰っちまえよ。驚き広がった目を直ぐさま縮め、でも、と反駁しようとする頭を巨躯の手が押さえた。重みにアルマジロと同じく背を丸める子供に、そうしておけとそっけのない勧めが落ちる。
膝の上に小動物を載せた子供はしばらく考え込む仕草を見せて、それからゆっくりと頷いた。そうします。ロージェノムが指で摘む重みを両腕で大儀そうに抱き上げて頬を寄せる。検査着から覗く四肢の彼処に針の痕を残す子供を目つきの鋭すぎる男は静かに見下ろした。



大馬鹿者。
怒鳴りつけ、それと同時に手が出ていた。
ただでさえ避ける力を持たない小さな身を縮めていた少年は殴られて簡単に床へ転がる。けれどそれでも彼は抱きしめたものを放そうとしなかった。
「やったことの意味が解っているのか!」
憤りを載せて責め立てながらもロージェノムは相手が無知だと思ってはいない。だからこそ許せず、そして哀れだった。握ったままの拳は震え柔い身体を殴打した感触を残す。
よろめき、俯いたまま身体を起こした少年の腕の中でもぞもぞと貧歯類の生き物が蠢いていた。いや、それが既にヨロイネズミと呼べる生き物なのかどうかは怪しい。
だって。くるくると甘えた鳴き声を上げる生き物を縋るように抱え、滅多に上がらない反駁がロージェノムの耳を叩いた。小声で、それでも言わずにおれないのかもう一度繰り返されただって、は、涙混じりに歪む。
「…いなくなってほしくなかった」
がりがりの腕に擦りつく体温を絶対に離さないと仕草で示して訴えた。望みの薄い少年が、どうしてもと欲した必死さにロージェノムの歯がぎりぎりと鳴る。
「お前は、自分で、人間を辞めたんだぞ」
撲たれ青黒く腫れ始めた頬を見下ろし押し殺した声に少年はゆるく頭を振った。ヒトでなどなくても構わないとでも言うような所作に、広い手がやっと開いて痩せた肩を掴む。脱力に似て膝をつき覗き込む視線を厭って、幼げな横顔が別の体温に押しつけられた。どうせ人扱いなどされたことがないのだからと言いたげに頑なな声が漏れる。人であって欲しいと願い、その裏に人と離れつつあるという実感があることを突きつけられロージェノムは呻いた。
「…いっしょが、いい」
ぼろりと落ちた涙が痣の上を伝う。主人の胸に前肢をついた生き物が、前から変わらぬ動作でその頬を舐めた。主の無聊を慰める姿は変わらずにしかし決定的に違うはずのその存在を奪おうとしたロージェノムを少年が拒む。
光を宿すも宿さぬも、同じく濡れた双眸が希な激しさを浮かべて大男を見上げた。痛むはずの傷跡も構わず少年は喚く。
「グアームと、ずっと一緒にいたいんです」
己を呼ばれたと考えた獣が鳴いた。微かに震えながら抱き留めて少年はロージェノムに相対する。諦めが板に付いた子供の我が儘を、本来であれば通してやるのが男の気性だった。あるいはここまでの激しさを見せれば面白いと笑って見せることすらしただろう。
だが、これだけは違う。
もし彼が我を張らなければ、グアームと名付けられた生き物は死んでいた筈だったのだ。それが寿命なのだから。
しかし少年は定命という決まりを破り、緑の光を編み込んで死の扉の向こう側から命を引き摺り戻した。
病に手を尽くすのとは訳が違う。呼吸も鼓動も止まり、終わった命をもう一度始めさせた。おそらくは自分の命を削ってグアームの命の蝋燭を継ぎ足したのだろう。螺旋の力は少年の望みのまま、その蝋燭に再び灯さえ点した。
少年にはそれができる力がある。けれどそれを使ってしまえば人間としての、生き物としての一線を越えてしまうことは明らかだった。慕わしいから愛おしいから、理を破っていいものか。そうして望みを叶えたところで、待っているのは自らの命を壊すと言うことだ。人間は神にはなれない。なれないからこそ壊してはいけない定めがある。その鍵を壊せば、待っているのは天井知らずの欲望とそれによって至る死のみだ。
そして実際ロージェノムが疎ましがったのは、少年が理を越えたこと以上に、そうすることで彼の死への道がまた一歩短くなったということだった。己の感覚こそ勝手な我が儘であり、また少年が示した欲と寸分違わぬことを自覚するからこそロージェノムは苛立つ。手放したくないという気持ちは痛い程解った。
大馬鹿者、繰り返した声の頼りなさはロージェノムとも思えない。グアームごと引き寄せられ抱きしめられた少年は目蓋を閉じて涙を落としながら小さく頷いた。二重に抱かれた息苦しさを訴えて獣が場違いに鳴く。
…やはり少年の螺旋力でさえグアームを元のアルマジロとして呼び戻せたわけではないことを彼らが知るのは少しあとのことだった。かの生き物は人の言葉を解し、また自ら喋る"なにか"に転じたのである。しかし、孤独だった少年の願いを思えばその姿こそ最も望まれたグアームだったのかもしれない。
生命と意志の力、螺旋力。繁栄の根源となった力が内包していた歪みに、人々が大いなる虞を抱くようになるまであと僅か。
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