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飯は喰いたし、眠気は強し。 そんな感じののらくら雑記帳。
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Posted by - 2024.05.03,Fri
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Posted by 中の人:狐或いは右端 - 2008.06.21,Sat

なんかもー更新ないのが申し訳なくて古いファイルから文章引っ張ってきたんですけど良いですかね?
って感じで一応更新です。既出なんですけどね…
先月二十日の兄貴追悼の時に書いた話が読み直してみたらそこそこ(あくまでそこそこ)の完成度だったみたいなので掲載しておきます。
他にも続きとか書けたら載せようと思ってる逆恨みシモン話とか色々あるんだけども、ネタしかないのがもうしょうもないところです。


オマケはなんだか趣旨がよく解らないロージェノムさんとその弟分の人の例のシリーズです。
小説だったかな、都市再生システムがありましたよって書いてあったの。
ロージェノムさんがロージェノムさんっぽくないというか描写が色々無理しているというか、ええと毎度ションボリな連作で済みません。ていうかこれなんで連作になっちゃったんだ?







すごいすごいと何時になく浮かれた声で言うのを受け流していると、不満そうに見上げられた。ちゃんと聴いているのか探る視線を片手で押さえそのまま頭をぐしゃぐしゃと引っかき回す。嫌がって二三歩前へ出た青年は、そのまま進み外へ広がる大窓へ寄り添った。
「今戦ってるのに、もうその先を見てる」
見下ろす街に灯りは乏しい。これだけ技術が進んでも、やはり目視によって攻撃対象にされるからだ。だが今表面に出ている機能の下に何が準備されているのかを見てきた青年は吐息混じりに言い切る。
「…人間は、強い」
地下に構築されつつあるのは戦争が終わった後速やかに都市機能を復帰させる為の装置だった。各地に作られたシェルターとは比べものにならない技術を投入され、例え知識層が滅び去っても簡単な調査で都市が復旧できるように仕組まれている。
敵に知られぬように極秘の箝制が引かれているその計画を、彼が目にすることを許された意味を二人は間違えなかった。
都市機能、或いはそれ以上の技術の粋を以て建造された巨大戦艦カテドラル・テラ。
この星最大最強の戦力を率いて陣頭指揮を執れと彼等は言い渡されていた。
…致死率は、並の死病よりも高いだろう。大手を振って死出の旅路を征く者達への、あれは手向けの一つだったのだ。都市構築に関わっている人間の中にはかつてロージェノムが所属していた場所に居た者も少なくない。彼等の中には青年が少年だった頃の姿を覚えていた人間もいたのだろう。あの頃、乾いた砂のように知識を飲み込み続けていた子供のことを知っている者が。
同情か、と口元を歪めその発想自体にロージェノムは自分を嗤う。覚悟はあったが、戻らないつもりはなかった。男が余裕を取り戻すには充分な時間、外を眺めていた青年が振り返る。
その穏やかな表情にどこか陰が指しているように見えロージェノムは渦巻く両眼を細めた。陽が傾いてきたからかと納得し顎をしゃくれば、いつもと同じように彼はロージェノムの隣へ並ぶ。名残惜しそうに一度振り返った青年は吐息のように声を零した。
「ねえ、ロージェノム」
異なる歩幅で歩きながら遅れはせずについてくる彼を横目に見下ろす。巻き毛の隙間に覗く繊細なうなじが白く夕日の残滓を反射していた。性別の定まらない姿は相も変わらずであった頃の子供を容易に連想させる。
呼んだまま言葉を途切れさせた声に先を促さず、ロージェノムは僅かに眉を寄せた。そう言えば、何故あの子供を男として扱ったのだったか。思い出そうとしても原因は判然としなかった。男でも女でもない身体なら、女として育ててやっても良かったはずなのに。
もしそうすれば、自分は宙への相方として今隣にいる人間を選んだのか、それともそもそも元居た場所を飛び出そうとしたのか。彼にしては珍しく過去を反芻したロージェノムはやはり彼にしては珍しく後ろを振り返った。透明な壁は藍の色を濃くし、太陽の残り香は薄い。
自分の思考と仕草に息を吐き、ロージェノムは進むために向き直る。少し大股に踏み出したその瞬間に、柔らかな声が落ちた。
「きれいで優しい奥さんをもらって、幸せな夫婦になって、それでたくさん子供を作ってください。
 男の子も女の子もみんなみんな幸せな家族になって」
夢想のような未来絵図は、帰還を確信している口調だった。だがあまりにも絵空事に過ぎる言葉ぶりに顔を顰め、ロージェノムは振り返る。そう、彼は二度目振り返った。いつの間にか相方は彼より遅れた位置で足を止めていた。
細い顎が上がり、色違いの両目を笑ませた青年が囁く。
「たとえ、俺が死んでしまっても」
バカなことをと笑ってしまえばよかったものを、ロージェノムは螺旋を描く双眸を逸らした。見てはいけない気がしたのだ。そこへ自分の中に潜む不安や恐怖がえぐり出されていると本能が悟る。
行くぞ、と口走ったのは無意識だった。はい。あくまで静かにいつもどおりに青年が応じる。
決戦の時は迫っていた。
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