飯は喰いたし、眠気は強し。
そんな感じののらくら雑記帳。
Posted by 中の人:狐或いは右端 - 2007.09.29,Sat
ヨーコから見たシモンに対する感想というか、ヨーコのカミナ・シモン・ニアに対する愛情というか。
ヨーコの受け入れ能力はえらい高いと思う。
それだけに、3部でロシウが否定されたのが辛かったわけですが。
ヨーコの受け入れ能力はえらい高いと思う。
それだけに、3部でロシウが否定されたのが辛かったわけですが。
「どうしたの、シモン?」
やけに機嫌よく駆けてきたシモンを捕まえてみたら、満面の笑みを向けられた。相も変わらずどこか小さな子供みたいな雰囲気がシモンからは抜けない。お仕着せの白い服だってなんだかちょっとちぐはぐだ。
でも自分のそんなところに気付いてないシモンは、やっぱり笑顔のまんま私に言った。
「俺、やっとニアより大きくなったんだ!」
誰かに言いたくて仕方ないみたいな感じ。すごくすごく嬉しいんだってのは判るけど、そんなにはしゃいで子供ね、なんて思ったのが伝わったらしい。
笑顔を引っ込め眉を寄せ、顔を曇らせたシモンは唇を尖らせた。だから、そういう顔が子供っぽいのよ。
「だって、今までずっと悔しかったからさ」
なんて言って落ち込んだ顔を見せるから、慰めなんだかどうだか私は当たり前の話を口にした。
「私たちくらいの年齢じゃ普通じゃない。女は男より早く大人になるのよ?」
つけ足したウィンクにやっぱりシモンが赤くなる。全然余裕なんかない、シモンはまだまだ子供だ。重要なのは体の大きさじゃないんだけどなあ、それがわからないんじゃ道は長そう。おまけに口を尖らせて、拗ねた声なんか出して。
「チビの気持ちはチビじゃない奴にはわかんないんだよ」
溜息混じりに言いながら細いままの肩が窄まった。
「それに、兄貴なんかはいつでも皆より背が高かったし」
「へぇ、そうなんだ?」
懐かしい話は少し興味深い話題だった。頷くシモンが自分の腕を持ち上げて、瘤を作るように折り曲げる。
「そうだよ。筋肉だってちゃんとついてて」
シモンは穴掘りに慣れててかなりの力持ちの癖になんだかいつまでも細いままだ。生まれつきの骨の形のせいかもしれない。
「ああ、あんたみたいにひょろくなかったわけ」
からかう私にシモンが頬を膨らませた。お互いいつも通りの気安さで、多分シモンは当たり前に話したし、私も普通に聞いてた。
だっていうのに途中でシモンは明らかになにかに気付いてしまったらしい。体つきの話からあいつの刺青の話になって、そこら辺から言葉が辿々しくなって。
「それにね、あとさ」
途切れた言葉を無理に繋げようとして、続かなくて、段々俯いた顔に髪の毛が被さる。
透かし見えた表情は影を負っていた。まるで、あいつが死んだすぐあとみたいだった。
やあね、そんな顔しないで。私も見たくない。あいつだって、シモンがそんな顔してるのを喜ばない。
シモンだって判っている筈なのに、それでもなんとか喋ろうとして唇が空回りした。バカね、もともと口数多くないくせに。
こっちも困ったけど、困らせてしまったんだ。謝る代わりに私はシモンの肩を叩く。つられてこっちを見た顔に、もう一度ウィンクをサービスした。
「シモン。いいよ、思い出してまで、私に教えてくれなくても」
これは、本音。
「知りたくないわけじゃない。
でもね、私の知らないカミナを知りすぎたら、私の知ってるカミナが上書きされちゃう気がする」
こっちも、本音。
手の甲に触れた藍色の髪を指で摘み、なんとなく弄る。くすぐったいのかシモンは片眼を瞑った。きっとウィンク下手だろうななんて思いながら私はシモンの髪を離さない。
「だから、思い出した時にちょっとずつ教えて」
私が知ってるカミナなんてたかだか半年分にも満たなくて、シモンの中にあるカミナの記憶に比べたら本当にちっぽけだ。でもやっぱり、私にとってのカミナはそのカミナだった。
シモンが見ていたのとは多分違うカミナを私は見ていて、そしてそのカミナに恋をした。
それを忘れたくない。
「シモンが忘れない為にカミナのことを話したくなったら、そのときに言葉にして。
一度に全部、じゃなくて」
一度に沢山教えられたら、私の中のちっぽけなカミナは押し潰されちゃうかもしれないじゃない?それは、嫌なの。
私の言ってる意味がちゃんと伝わったのかは解らない。でも、シモンは真剣な顔で頷いた。…ちょっと悪いことしちゃったかな、折角あんなに嬉しそうに笑ってたのにね。
私はカミナのこと好きだけど、勿論シモンやそれからニアのことも好きだよ。だから、シモンにもニアにも笑ってて欲しいの。
私を可哀想だと思わないで。私を見て悲しくならないで。
シモン、私はあなたとカミナを語るなら、あいつは本当にバカだったねって笑い飛ばせるぐらいで居たいのよ。
「楽しいことは、小出しの方が良いってこと」
言いながら、まだ私の瞳より低い位置にあるシモンの額を突いた。うん、シモンってちっちゃいなあ。ニアを抜いたって言ってもまだまだね。
言ってやったら悲しそうな顔になるかな、怒ってみせるかな。考えながら口にした。
「ニアを抜いても私が居るわよ?」
「うっ…!」
言葉に詰まるシモンがおかしくてしょうがなくて、私は声を上げて笑う。
…カミナ、私達結構元気にやってるよ。
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