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飯は喰いたし、眠気は強し。 そんな感じののらくら雑記帳。
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Posted by - 2024.05.03,Fri
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Posted by 中の人:狐或いは右端 - 2008.06.22,Sun
ハイ、管理人です。
今なにしてるかというと喉の痛みに打ち上げられたアザラシ状態もしくはトドになっております。
夏風邪はバカが引くものでありますから正しくバカの称号を拝命したく存じます。
ただな、なんというか、炎症止めスプレーやらうがい薬やらの普段の備えが全く役に立たなかったというのはやる瀬ないものですなあ。
つーか痛い、喉が満遍なくささくれて熱を持って、耳にまでそれが及んでいます。なんか一つ間違ったら耳から液が出そうだもの!
カサコソ百足が出て来たらかまいた音頭ですが。


持病の薬を飲み込むのにも難儀しているため、なんかヤケになって雑記書いて見ました。携帯から。
無軌道なブログですみません!
まためのことショタニキの次の話の処理に困ったり細々しいネタが書き上がらなくてムギーとかやってます。
人生を大事に使えよ!て自分に檄を入れていたら、猫にあくびされました。
なんだこの脱力オチ!


ちなみに朝になったんで体温計ったら38度でした。
…平熱は…35.6度のはずだが…
……単純に風邪ッスね。




ある時期とにかくシモンとカミナの立ち位置を確定させねば…!と思いつつ書いていたもの。
これが多少ブラッシュアップされた話の方が更新に使えればいいな…て…


:
自失した子供は、瓦礫の中でうずくまっていた。
何が起きたか理解していないのか、したくないのか。虚ろな顔から読み取る事は難しい。
少年がそうなってから既に数日経っていた。
最初の間こそ幾人かは子供の様子を気にかけていたものの、今ではそれもない。
子供が反応しなかった所為もある。だが、それよりももっと重要だったのは彼等自身の生活だった。穴蔵暮らしも楽ではないのだ。身寄りのない子供にいつまでも構っていられるほどの余裕は誰にも無い。
天井が崩落し、歪な形になった洞の中で子供は時折目の前に落ちている石のかけらを拾い上げた。そのくせ手に取ったものはすぐ後ろに放り投げてしまう。石は対して腕力のない少年の足下に転がった。のろりとした動きの間も幼い顔に生気は無い。
「シモン」
名を呼ばれても、子供は俯いたまま顔を上げない。埃にまみれた体は地面と同化しようとしているかのようだ。
今となってはただ一人、シモンの様子を確かめに来るカミナは変わらぬ様に唇を噛む。シモンは飲ませようとすれば水を飲むが、食事は一切受け付けなかった。自分から何かしようと言う意志が抜け落ちて一緒に命まで削ぎ落としていく。
こつり。シモンの投げた小石がカミナの爪先にぶつかった。小さな少年の前に積み上がった岩からすれば欠片と言うにも足りない。
「危ねえだろ、あんまり近づくなよ」
一瞬躊躇したものの、カミナは座り込んだシモンに寄り添いやせ細った肩に手をかけた。幾らなんでもそろそろ部屋から引き剥がし、何か食べさせなければ本当に死んでしまう。
それ、を。望んでいるのではないかという考えをカミナは必死で振り払った。シモンの両親は数日前に起こった大きな地震で生き埋めになっている。息子の目の前で、夫婦は岩に押し潰されていった。
「シモン」
些か乱暴に肩を揺する。それだけで容易に骨張った体が揺れた。ぐらぐらと座りの悪くなった首も体に従い、何も見ていない瞳がふいにカミナの方を向く。焦点の合っていない黒目の中に年上の孤児が映り込んだ。
「…ほっても、くずれる」
「ぁん?」
唐突に落とされた声が聞き取れずに思わずカミナは柄も悪く問い直す。虚ろな顔はそのままに、シモンの手が足下を探って小石を握った。
「なか、とうさんとかあさんがいるから。ほって、ほろうとしたんだけど」
ざらりと音を立てて小造りな手の平から砂利が零れる。端石を取り除いても、支えが無くなって土砂が落ちてくるだけだ。
感情のこもらない目には涙すらない。からっぽとしか言いようの無い姿が胸に痛くてカミナはシモンの両肩を握りしめた。
「シモン、お前の親父とお袋は、もういない」
言い聞かせる言葉を聞いているのか、聞こえていないのか。がくりと落ちた頭を下から覗き込んでカミナは無理矢理シモンと視線を合わせた。
「もう、いないんだ」
どんなに受け入れ難くてもそれは事実だった。シモンにはもう両親が居なくて、どんなに願ったところで帰ってはこなくて、彼は一人で生きて行かなくてはならない。
カミナも、そうだ。父一人を地上に旅立たせてしまった彼も、この地下の穴蔵で生きていくしかない。
自然指先に力が入り、爪が乾いた肌に食い込んだ。
「うそ」
カミナの爪に押し出されるようにシモンが呻く。一度声が出ると、止められなくなったかのように彼はか細い悲鳴を連ねた。
「うそ、うそ、うそだっ!父さんも…母さんも、ここにっ」
居る。
そう言ってシモンが指さしたのは岩の積み重なる壁だった。幼くても理解出来ない年ではない。認められない、だけなのだ。
カミナは下を向いたまま否定を繰り返すシモンの顎を反射的に掴み上げる。
「下ばっかり見るな、シモン」
嫌がって引こうとするのを叱咤して、強制的に前を向かせた。何も映さなかった瞳は今は怯えに染まっている。それが自分に向けられたものであるにしろ、虚ろのままよりはマシだ。
ばらり。音を立てて砂利山が勝手に崩れる。シモンが手を出さずとも、不安定な壁はいつ崩れるともしれなかった。この部屋が一度崩れたから、その所為もある。だが言ってしまえば、この地下住居は地震さえ起こればどこが壊れてもおかしくないのだ。
「上を見ろたぁ言わねぇ。怖いもんなんざ俺にだってある」
いやいやをしてカミナの手を引き剥がそうとするシモンを見ながら、カミナはかつて見た世界を思う。広く、広く、どこまでも広く。天井も壁もない、そして未知の世界だった。知らないものだらけの地上でカミナも臆して後退った。
しかしいつまでもそうして臆していてもどうにもならない。父親を追いかけて行くためには、一人で生きていく為には。
「だが前を向け。生きてる人間はみんな、誰だって前に進まなきゃならねぇんだ」
死んだ人間の事を、居なくなった人間のことを忘れることなんか簡単にできはしない。けれど自分は自分で彼等とは違う人生を歩まなければならないのだ。
顎から手を離しても、シモンは俯かなかった。その代わりに鼻面に皺が寄り、目元が歪む。ぼろりと大きな瞳から涙が零れた。
藍色の髪を撫でると、倒れ込むように細い体が抱きついてくる。失くしたはずの涙と嗚咽を絞り出すシモンを抱き返すカミナの脳裏に記憶の中の赤い空が広がった。
お前から大事な物を奪った天井が、無い世界があるんだ。シモン。
お前と俺はいつかそこに行こう。
「行こうぜ、シモン」
何処に、とも。訊ね返さないままに、カミナの胸に押しつけられた頭が頷いた。
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