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飯は喰いたし、眠気は強し。 そんな感じののらくら雑記帳。
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Posted by - 2024.11.23,Sat
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Posted by 中の人:狐或いは右端 - 2008.06.09,Mon

「秋葉原の治安はかつてより悪くなった」
っていう話を聞いてそりゃいつのことだいと吹いた、そんな夜中。
今晩和管理人です。
いや、かつて秋葉原といえばオタクとヤンキーガチバトル、食うか食われるか(主にオタクが食われる)街だったんですよ。
札は靴下の底に入れておけと言われる街だった訳です。
もっと街だって薄暗くって、路地も更に猥雑な感じで。でももっと、専門知識溢れてそうなおいちゃんが多かったかなあ…
しかしそもそも電機関係のオタクが集まる場所だったわけで、発達ルートとしては割合判りやすい道しか辿ってないような気がします。


取り敢えず今回のオマケはチミルフ様とニア姫様ですよ。







のしりと回廊を歩む巨躯を見つけ、窓から外を覗いていた姫君はぱっと明るい笑顔を見せた。
「ごきげんよう、チミルフ」
身軽に駆けてきた姫に臣下の礼をとるため膝をついたチミルフは頭を垂れる。野太い声が四天王が一人怒濤のチミルフ、戻りましてございますと帰還を告げた。
しかしその儀式にとんと興味がないのか、朝焼け色の髪を揺らした第一王女はスカートの裾を持って軽く礼を見せるとすぐ煌めく瞳を好奇心で染める。王城の外へ出たことのない姫にとって、四天王が持ち帰る土産話は夢物語にも等しいのだ。
それを知り、姫の無聊の供となるならと何かにつけ話を用意してくる気遣いが巨体の獣人には備わっている。甘えて良いと本能で知っている姫は、にこにこと期待に満ちた目でチミルフを見上げた。が、厳つい顔が何かを語るより早く、姫は彼が太い指に庇うようにして摘まれている花を見つける。
「まあ綺麗!」
たった一輪、背丈に見合った大きな手の内にあれば存在感も縮み込んでいた。けれど始めて見る美しさに目を奪われた姫は両手を胸に揃えて瞳を輝かせる。応じて姫君の見易い高さへ花が捧げられた。
「姫様は花を愛でられるからよろしいが、花は散らせと考える者もおるので困りますな」
機嫌良く、あらゆる角度から花を眺めて嬉しそうにしている姫はチミルフの言葉にぴょこりと頭を上げる。目を細めて見守るチミルフに満面の笑みを見せた少女は白く滑らかな、傷一つ無い腕を広げて見せた。
「花びらが風に舞うのも美しいですよ、チミルフ」
散る、の意味を無邪気にしか捉えられない姫君にチミルフは温かな表情で応える。各々抱えるべき分は異なるものだ。姫は美しいものに囲まれ美しいものだけを見て美しいものを与えられる存在なのだから。
「姫様への土産が花一輪とは無粋も過ぎましょう。この度はご勘弁を」
腰を上げたチミルフはそっと、武人とも思えない繊細な仕草で花を引いた。花弁が落ちないように優しく扱っているのだと知った姫はその温柔さにまた唇を綻ばせる。
そうしているだけで花に負けず劣らず慰めとなる姫を見下ろし、チミルフは姫のための約束を口にした。
「次に東より戻る際には、姫には花株をお持ちしましょう。
 お育てになってみてはいかがでしょうかな」
この王城にあって姫は全てを望むことが出来るが、この王城に縛り付けられているが故に実際の望みは小さく他愛のないものばかりになるのが常だった。その姫の変化のない日常に花が侍れば少しは楽しみにもなるのではないかとチミルフは忠臣らしく案じる。
「育てる?私が…お花を」
言われた姫君は思いも寄らなかったのか、きょとりと目を丸くして小首を傾げた。しかし次第を飲み込むとぱん、と両手を併せて大きく頷いた。
「やってみます!
 チミルフ、素敵なお花をお願いしますね」
華やかに笑む姫君は、約束が違えられるなどとは夢にも思っていない。
「お任せを」
そして頷いた臣下もまた、己が姫との約定を無碍にするはずがないと確信していた。既に頭の中には幾つかの花の知識が浮かんでいる。さてどれであれば姫のお慰めになるかと顎を撫で、チミルフは古い記憶を呼び起こされた。
「かつては城にその手のものが得意な男もおりましたが…」
チミルフの本意ではなく思考と声が一致して外に漏れる。素直な姫は当然、瞳を瞬かせて問うた。
「あら、その方は今どこに?」
数秒、間が残る。答えはチミルフの中にあったが、それは姫が楽しめる内容ではなかったし、知るのも余計となる類の話だったのだ。
だからチミルフはわざと気楽な調子で応じる。
「去りました」
「あら、そうなのですか…残念です」
心底の調子で呟く姫に同調しながら、チミルフはしばし此処に居ない男のことを思った。今どうしているのか、生きているのか死んでいるのか。
どっちでもいいしどうせ野垂れ死にだろうさ、と下らないと言わんばかりの言葉が脳裏を駆ける。それは想像の一端だったのだが、あまりに真に迫っていてチミルフは笑いを漏らした。少し待たせてしまっている、下らない話を持ちかけずとも機嫌の悪さは想像に難くない。
その仕草へ不思議そうな顔を見せる姫に礼をしてチミルフは場を離れた。
さきほど頭の中で尾を振っていた女へ、一輪の花を届けるために。
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